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【発表項目】
(参考資料)
・令和6年度当初予算(案)主要施策(PDF:9,661KB)
・令和6年度当初予算(案)超過課税の延長(PDF:669KB)
知事:
令和6年度は、一般会計2兆3390億円、特別会計、公営企業会計と合わせると4兆3000億円になります。前年度比で約200億円のプラスです。
歳入の内訳が次のページです。
県税は、コロナや円安の影響が危惧されましたが、法人税が比較的堅調で1.4%の増となっています。それに伴い、交付税は若干減になっています。
歳出の内訳は、人件費が若干のプラス、行政経費が大幅な減です。これはコロナの関係経費の事業が大幅に減ったことが影響しています。
投資的経費は、来年から特別支援学校の強化対策などの対応で、プラスになっています。
資料5ページは財政フレームです。
令和6年度当初予算の中や内閣府が1月に公表した中長期の経済財政に関する試算を基に試算を行いました。長期金利の上昇が見込まれる一方で、県税収入の改善、そして経済成長率の上昇が見込まれます。
去年のこの時点での令和10年度までの収支不足は255億円でしたが、今述べた要因を踏まえると40億円改善し、215億円で収支が改善しました。予断を許さない面もありますが、これからさらなる税収確保や自主財源の確保、そして成長を強化していくことで、毎年度の収支均衡を引き続き目指していきたいと考えています。
なお、兵庫農林機構の分収造林、地域整備事業会計は、昨日、県政改革本部で議論し、2月補正で対応をします。それぞれ今後の経営をどのようにしていくかの問題もあるので、財政フレームに与える影響は、来年度にしっかりと議論し、できるだけ有利な財源を活用しながら、財政フレームへの影響を最小限に収めていくよう努めていきたいと思います。
県民の皆さんへの情報共有を、県議会も含めて対応していきたいと考えています。
財政フレームが40億円改善したのは、経済成長が想定よりも底堅いということです。
円安の影響により、本県のものづくり産業の輸出の企業業績も一定程度堅調なことなどを踏まえて、このような状況になっていると思います。
後程、説明しますが、若者を含めた人手不足対策をしっかりと実施し、経済の下支えをやっていきたいと考えています。
当初予算案の重点項目は4つです。
少子化が進んでおり、子どもの数の絶対数はどうしても減っていきます。それを悲観的に捉えるのではなく、県民の皆さん一人一人、特に若者世代の力を磨いていく兵庫にしていくことがポイントになります。
新たなステージに兵庫県政をステップアップしていくことを目指したいと考えています。
誰しもが望む学び方、働き方、暮らし方ができる。そして、夢を持って自分のストーリー、物語を歩んでいけるような兵庫づくりを目指していきたいと考えています。
具体的な項目は、若者・Z世代が輝く兵庫、活躍の場が広がる兵庫、安全安心に包まれる兵庫、最後に、ベースとなるのが県政改革の推進で、分収造林事業などの解決も進めつつ、新しい働き方改革、4割出勤を目指して県庁舎の整備をしていく、の4本の柱がポイントになると考えています。
1点目は若者・Z世代応援パッケージです。
8月以降、若い世代の応援をしていくため、県立大学の授業料無償化等、各種施策検討会を通じて精力的に議論してきました。また、不妊治療の支援、奨学金の返済支援などの施策の説明をしてきましたが、パッケージとして全体像を説明します。
人口の絶対数が減っていく中で、若い世代の力を伸ばしていきます。安全・安心に学び、暮らしていくような兵庫を創っていくことが、県の成長・発展のために不可欠だと考えています。
全体として91億円の予算を組みました。学びやすい兵庫、子どもを産み育てやすい兵庫、住みやすい兵庫、働きやすい兵庫を目指して、4つの「しやすい兵庫」を目指して施策を展開します。
高校生、大学生、社会人の若い世代を含めた支援をしっかりとやっていきます。
8ページ、高等教育の負担軽減で、県立大学の授業料等無償化に着手をしていきます。兵庫県立大学、豊岡の芸術文化観光専門職大学の授業料等無償化を大学院、大学学部ともに、所得にかかわらず無償化を進めていきたいと考えています。来年度は学部4年生、博士前期2年生、博士後期3年生からスタートします。
9ページは奨学金返済支援制度の拡充です。
現在は、30歳未満で5年間企業等と連携し、総額90万円の制度としていますが、大幅に拡充し、40歳未満、最大17年間とし、総額306万円で全国トップクラスの奨学金返済支援策をスタートします。
若者の3人に1人、場合によっては2人に1人が奨学金返済をしています。
平均で300万円を超える奨学金の返済を社会に出てから背負う形になり、結婚や出産、子育て、住まいを買う時に、大きなハードルになっています。
奨学金返済をできるだけ軽くしていく、大学の授業料の負担を減らしていくことをセットで進めていかなければならないと考えています。
私立高校等への授業料軽減もしっかり進めていきます。
HYOGOグローバルリーダー育成プロジェクトでは、主に県内の高校生を応援していくプロジェクトです。少子化の中でも、海外で活躍する人材を兵庫県から育てていくことが大事です。特に高校生から海外の経験を積むことは非常に大事だと考えています。
具体的にはアプリを活用した英語の学習強化やSSH並の県指定研究事業を推進したいと考えています。公立私立問わず、ひょうごリーダーハイスクールを概ね10校指定し、文理融合や国際系に関するグローバルリーダーの育成校を兵庫県単独で応援していきます。
海外留学のサポート支援では、高校在学中の夏休みに1人で留学することを応援したいと考えています。先日、猪名川高校と川西緑台高校に訪問した際に生徒たちに説明したところ、特に女子生徒が行きたいと声を上げて喜んでいました。
英語やSDGsに興味ある子どもたちが自分の力で海外に行ってみたいが、円安の影響もあり、家計への負担を考え、留学に躊躇する子どもも増えているみたいです。
子どもたちが留学費用を気にせず、海外に行ける環境を県として作ることが大事だと思っています。まずは、10名の支援からスタートし、100名まで増やしたいと考えています。
2月議会で国際人材育成基金の条例を提出します。既に民間企業の多くから寄附の申し出があるので、広げていきたいと考えています。
教育環境の充実では、高校生の部活動等応援プロジェクトや高校のクーラー設置、避難所指定される体育館の空調整備、特別支援学校の整備を行います。
猪名川高校では、卓球台の新設や生徒個人用ロッカーの整備に予算を使う予定です。個人用のロッカーはニーズが高いのに、公立高校で個人用ロッカーが導入されている学校は少ない状況です。プライベートも考慮しロッカーを望む声は多く、今回配分した予算を使い、導入する予定で、生徒も喜んでいると考えています。
川西緑台高校では、野球部のトスバッティング用のネットや陸上部のラップを計測する大きなタイマーなどを、生徒たちで何が欲しいかを話し合い、生徒会などが中心となり決めていました。実際に高校へ行き、生徒たちが喜んでいる顔を見ると、今回の施策を充実させていくことが大事だと考えています。
子どもを産み育てやすい兵庫では、不妊治療の支援を強化していきます。
子育て支援策は、政府も取り組んでおり、不妊治療も保険適用され、一定の経済的負担は軽減されつつありますが、先進医療の助成や交通費支援、企業の理解促進を促していかなければいけない状況です。
また、高校生や大学生を対象にしたプレコンセプションケアを推進していくことが大事だと考えています。先日、淡路で女性から声をかけられ、県が不妊治療の支援策を強化していくことはありがたいと言われました。
その際に、いくつかの課題も伺ったので、来年度、1年間議論して、全国初となる不妊治療支援の特化条例を創設したいと考えています。
プロセスの中で、企業の理解促進をいかに図るか、当事者の隠れた課題や解決すべきものはないか、をもう1度掘り起こして制度の充実につなげていきたいと考えています。
課題を抱える若い世代の支援に関して、特に不登校対策を来年度から強化していきます。校内サポートルームの設置に向け、不登校児童生徒支援員を全県的に配置していきます。
県では全中学校に1人、小学校は4校に1人を配置します。先日、神戸市が全小中学校に支援員を配置する報道がありました。詳細は神戸市の予算発表で説明があると思いますが、神戸市のご英断に感謝を申し上げます。
神戸市が取り組まれることで、中学校で33.8%の支援員配置率が96.7%まで上がります。小学校では、7.6%が46%まで上がります。
不登校は深刻な問題になっています。
民間のフリースクールの支援も大事ですが、校内サポートルームの支援は、生徒に多様な居場所を作れることができます。少ししんどい時は家で、学校へ行けるようになってきた場合には、週に1回か2回でも登校できるように、最終的には通常クラスに戻れるようになると考えています。
これは、先生の負担軽減にもつながります。校内サポートルームに1週間のうち1日でも登校すれば出席になるので、先生が行っていた家庭訪問の負担が軽減されます。
住みやすい兵庫は、若い世代の人たちが家やマンションを買える状況ではありません。若者世代への住宅政策が、定住定着につながる大事なポイントだと思っています。
県営住宅の入居促進では、若い世代への供給戸数を増やすと同時に、奨学金返済支援世帯の優先入居枠新設や入居要件を緩和することで、阪神間や神戸の公営住宅に入ってもらうことを考えています。
その間にお金を貯め、子どもが大きくなり、少し手狭になってきた時には、近くの民間住宅などに移り住む循環を作っていきたいと考えています。まずは尼崎市で子育て住宅促進区域に指定し、モデルを作っていきます。
産業を支える人材育成では、人手不足問題対策会議で議論した、高校生の就職促進などを実施します。
このほか、県内大学のインターンシップも強化します。また、外国人の就職定着については、企業認証制度を創設していきます。
活躍の場が広がる兵庫ですが、2025年の大阪関西万博が迫っています。
ひょうごフィールドパビリオンの取り組みをさらに深めていくことが大事です。200近いプレイヤーが集まっており、今後、磨き上げを行うとともに、多くの人に来てもらえるように、ツアー化することが大事だと思います。
県民の皆さんがこのフィールドパビリオンに来てもらえる枠組みづくりに取り組んでいきたいと考えています。
県立美術館等でのプロジェクトも進めていきます。
ひょうごフィールドパビリオンは評価をいただいています。会場をできるだけ作らず、既存施設の活用し、コンテンツを繋いだネットワーク型のプロジェクトです。
特に万博やオリンピックの会場建設のコストに対して様々な議論があり、簡単には建設できない時代なので、既存のものを活用し、スポーツイベントや万博イベントなどを実施することは大事です。
ひょうごフィールドパビリオンが、先駆的に取り組んでいきます。
万博を見据えた観光施策の推進は、ユニバーサルなお宿などの整備に取り組んでいきます。例えば、城崎温泉の宿のバリアフリー化を進めることで、障害者や高齢者などにやさしい観光地づくりにつながると考えています。
スポーツや芸術文化の促進では、神戸で開催されるパラ陸上への支援を行います。
20ページは、高規格道路ネットワークの整備として、播磨臨海地域道路を含めた各種重要なインフラ整備を着実に進めていきます。
21ページは、水素社会の実現です。
官民連携のネットワークを県が進めていく中で、関西電力、JR西日本など多様な主体が水素の取り組みの輪を広げてくれています。
西日本の中心として拠点性をさらに高めていきます。また、空飛ぶクルマを含めた次世代モビリティの社会実装に向けた取組も行います。
22ページが、中小企業・地場産業等のSDGs取組等の支援です。
大事なことは企業のブランディングだと考えています。SDGs、ミモザ企業、ワークライフバランスの3つの取り組みを中心に推進していきます。
県内の中小企業・地場産業は取り組みが道半ばなので、これを進めていくことが大事だと思います。
23ページは、有機農業の推進です。
有機農業は、消費者の関心が強いため、しっかり進めていきたいと思っています。検討会を開いて議論してきましたが、流通経路の確立や学校給食の導入をしていきますが、人材育成を突破口にしたいと考えています。
県立農業大学校に全国唯一となる、生徒一人一人の個別のビニールハウスや圃場整備し、個別で管理する有機農業アカデミーを令和8年度から開校する準備を進めます。
カリキュラムを作ることのみならず、圃場やビニールハウスのハード支援を2年間かけてしっかりやっていきます。
学生数10人で始めますが、できれば20人以上の規模にしたいと考えています。全国から有機農業をしたい希望者を集めて県内で定着させたいと思っています。
小規模農業の課題と言われている収益性に対し、有機農業を少しずつ広げていくことが県内の小規模農業を支えていくキーになると考えています。
24ページは、脱炭素社会の実現に向けた太陽光発電などの推進です。
25ページは、高齢者が安心して暮らせる環境づくりです。すでにスタートしている特殊詐欺被害対策を全力で推進していきたいと考えています。
26ページの1人1人が尊重される社会づくりでは、パートナーシップ制度の運用を4月から開始します。
SNSの誹謗中傷対策の条例制定に向けた議論や犯罪被害者支援として見舞金制度も来年度から創設します。軽・中度難聴児支援として、補聴器購入費助成制度の所得制限を撤廃します。
27ページは、暮らしを支える基盤の強化です。
医師の働き方改革をしっかりやっていきます。県立病院は様々な課題があり、今年度、プロジェクトチームで今後取り組むべき対策を取りまとめていますが、来年度から医師の働き方改革として、神戸大学の大学病院を中心とする基幹病院が県立病院や県内病院に医師を派遣する枠組みを作ります。
県立病院の医師が充足されるので、各病院の勤務状況もマンパワーが増え改善されていくことになると考えています。
28ページは、防災・減災対策の推進です。
阪神・淡路大震災から30年の節目になります。30年を迎えるにあたり公館で1.17のつどいを開催します。
今年は世界銀行のイベントが姫路市で、関西財界セミナーが2025年に神戸市で開催されます。
港湾関係のイベントも神戸市で開催されるなど、この30年の節目に様々なイベントが兵庫県内で開催されます。
震災から30年の節目に、兵庫県、神戸市、経済界と連携しながら、おもてなしをしていきたいと思います。
能登半島地震を踏まえた、南海トラフ地震等への備え、ウクライナ復興支援も、着実に実施していきたいと考えています。
来年度は、能登半島地震で明らかになった孤立集落への支援、物資をどのように輸送していくか、ヘリコプターやドローンなどを使って物資を実践的に輸送できる方法を検討します。
上下水道の断水により、トイレの衛生状況が危機的な状況になったので、南あわじ市にあるトイレカー、養父市の民間事業者によるランドリーカーを県内でいかに充実させていくか、市や町、民間企業の皆さんと一緒に議論していきます。
プランを作るだけではなく、9月の防災訓練で実践的なオペレーションにつなげていきたいと考えています。
30ページは、県土の強靱化として各種施策を進めていきます。
31ページは、県政改革の推進として、新しい働き方の推進をしていきます。
4割出勤に向けたトライアルを来年度も実施していきます。
本庁舎の再編も、3号館、生田庁舎、公館をリノベーションしていきたいと考えています。
モデルオフィスでのトライアルで、職員から声が上がった、公用携帯を大胆に導入していきたいと考えています。
民間企業では携帯貸与は普通ですが、費用面やプライバシー面でも課題が大きいため公用携帯の導入、モバイルパソコンの導入を進めていきたいと考えています。
4割出勤に向けたテレワークが非常にやりやすい状況になり、災害時に現場へ行った時の電話対応など、現場力の強化にも繋がっていくと考えています。
以上が、来年度予算編成の概要になります。
来年度の予算は、「若者・Z世代応援予算」と名付けました。
もちろん、若い世代以外の高齢者、現役世代の施策、社会保障関係経費等もしっかりやっていきますが、これから兵庫県、日本を支える若者・Z世代、高校生や大学生、社会人の若い世代、20~30代をしっかり応援します。
厳しい状況に置かれている不登校児・生徒、ヤングケアラーを応援し、支える施策がすごく大事なポイントだと思います。
特に、日本の場合は、若者世代への支援策の予算が非常に少なく、世界的に見ると、例えば、台湾の総統選挙でも、若い世代が経済的に苦しい、家が買えないとの声がありました。韓国でも同じ状況があり、アメリカでも学生ローンが若い世代にとって非常に問題になっています。
若い世代が政治に対して声を上げる流れにつながっており、日本はまだそこまで若い世代がデモ等、声を上げることは少ない状況ですが、高校生や大学生からは、奨学金返済支援や県立大学の無償化、留学支援に対しての要望の声も聞いています。
日本は、高校生、大学生、若い社会人への予算配分をもっと充当させていくことが大事だと思います。兵庫県からスタートしていくことで、日本をリーディングすることに繋げていきたいと考えており、今年のテーマは、「若者・Z世代応援予算」と考えています。
私からは以上です。
記者:
若者・Z世代の応援は、今後3年間を集中期間としてやっていく方針でしたが、24年度の予算で土台の部分ができたと思います。
その上で、今の土台をさらに充実させていく、新たな分野の取り組みを進めていくなど、新たに必要になってくると感じている部分があれば教えてください。
知事:
一つの土台ができたので、より充実していくことが大事だと思っています。
県立大学の授業料等無償化は、来年度から学部4年生、博士前期2年生、博士後期3年生からスタートしたいと思っていますが、これを全学年にしていくことが大事です。
おそらく2月議会は白熱すると思いますが、そこでしっかりと議論しながら、若者・Z世代支援策のキーになる施策なので、財政的な問題など、いろいろな指摘はありますが、躊躇なく断行していきたいと思います。
それ以外にも、海外留学のサポート支援は、10人からスタートし、100人まで増やしたいと考えており、民間企業の寄附と折半でやっていきたいと思っています。
来年度も、県費で5人、民間企業の寄附で5人の予算を組んでいます。100人まで増やすためには、50人の予算枠を、企業からのふるさと納税や寄附などを通じて、安定的に提供できるような枠組みを作ることが大事だと思っています。
不妊治療も、県民からは課題がまだまだあると言われています。2人目の不妊治療をしたい時に、子どもを預けるところがあれば治療を継続しやすいという話も聞きました。
一時預かり保育の問題、クリニックの託児機能の強化なども大事だと考えています。
それぞれのテーマごとに、地域単位で当事者と車座で話をするようなミーティングの開催、シンポジウムなどもやりたいと思います。
そこで、当事者から意見を聞き、施策に結びつけていく。例えば、不妊治療では、県内10圏域ごとに、当事者、場合によっては大学生も含めた車座の対話の機会を作り、課題を出してもらうような機会も作っていきます。
若者・Z世代応援パッケージのさらなるブラッシュアップ、充実につなげていきたいと思っています。
記者:
若者・Z世代以外の分野で、特にこだわった施策はありますか。
知事:
2025年の万博に向けた兵庫の観光の生まれ変わりが大事だと思います。
特にフィールドパビリオンは、ようやく少しずつ、皆さんに浸透しつつあるかと感じています。
磨き上げをしっかりやっていくこと、受入環境を整え、ツアーやエクスカーションなどで、いろいろな方に来てもらえるようにしていきます。
世界銀行のシンポジウムが6月に姫路で開催されるので、そのエクスカーションで、防災施設のプログラムを組んでもらうなどに取組んでいきたいと考えています。
高齢者の安全対策では、県民の安全対策は非常に大事だと思っており、特に特殊詐欺被害を防ぐために自動録音機能付きの電話機が施策としてのキーになりますが、普及促進を市や町と連携しながらやっていきたいと考えています。
自転車ヘルメットのキャンペーンは締め切りが2月9日と間近に迫っていますが、最近、応募が増えているので、2月9日までの締め切りを3月まで延長しようと考えています。
さらに議会の理解が得られれば、来年度も継続したいと思っています。
記者:
分収造林や地域整備で財政指標の悪化も免れないという中で、予算編成にあたってもいろいろご苦労があったと思います。
テクニカルな部分や気持ちの面などで、苦労された点はありますか。
知事:
分収造林や地域整備事業の問題は、対応の道筋を見える化しオープンにしながら作り上げなければならないと思っています。
過去の隠された宿題、隠された借金でもありますが、処理していく中で、未来の世代に、それがゆえに何かができなくなる、何かを諦めることはあってはならず、斎藤県政の責任だと思っています。
県立大学の無償化をはじめとする、若者・Z世代への未来への投資は責任だと思っており、その財源を生み出すことは今回苦労したところです。
県立施設への指定管理の導入、行政委員会の非常勤委員の報酬を月額制から日額制に変更、いろいろな事業の組み替えを行い、具体的に積み上げてました。
税収の上振れで40億円の収支改善もあり、行革と経済成長を組み合わせて、若者・Z世代の未来への投資はしっかりとやっていきたいと考えています。
記者:
財政フレームの資料で、「県議会、県民との情報共有を徹底しつつ、検討を進める」と記載されています。
県議会は特別委員会を設ける方向を示していますが、県当局として、抜本的な見直しに向けた体制などは考えていますか。
知事:
午後からの県政改革審議会でも意見として出てくると思います。
昨日は、既存の枠組みで県政改革本部会議を開催しましたが、新たに重要な県政課題の政策決定過程を見える化していく場を来年度から作りたいと考えています。
オープンな場で議論する形にして、分収造林や地域整備事業、さらに他の重要政策を議論し決定していきます。
県民の皆さんやマスコミも含めて、議論の過程を見える化することを来年度スタートしたいと考えています。
記者:
震災30年の関連予算は、1.17のつどいの開催費用で1700万円ぐらいですが、他に震災30年絡みの事業があれば教えてください。
教訓を継承することが大事だと以前から述べられてきましたが、伝承の仕組みづくりや人材育成のようなソフトな部分を充足するために予算はあるのでしょうか。
知事:
震災30年については本当に大事なポイントだと思いますので、この1.17のつどい以外にも、若者世代や次世代に継承していくプレイヤーの皆さんを応援、発表の機会を作るなどは官民連携でやっていくよう準備はしています。
改めてそういった枠組みを作っていきたいと思っています。
特に県のみならず、神戸市、それから経済界を含めて、30年の節目にいろいろな行事や事業を実施するので、みんなで共有しながら一体的にやるようなベースをこれから作っていくことが大事だと思います。
令和7年度予算になりますが、2025年には万博期間中に創造的復興サミットを開催したいと考えています。
世界各国、日本全国から、できれば石川県も含めて、創造的復興、震災の経験と教訓をみんなで考えて発信するフォーラム、サミットにします。
兵庫宣言を出して、震災の経験と教訓を改めて2025年に発信する場を作っていきたいと考えています。
記者:
先ほど言及はありませんでしたが、ケアリーバーの支援策も全国初として打ち出していましたが、兵庫県として、なぜ打ち出すのか、その背景や事情、理由があればお聞かせください。
知事:
若者・Z世代応援の一環です。
留学や高等教育などへのチャレンジへの応援と同時に、ケアリーバーなど決して恵まれた環境にない子どもたちを支援していくことが非常に大事だと思っています。
予算的には不登校支援が大きく出ていますが、ケアリーバー支援もしっかりとやりたいと思っています。
特に、大学の進学率は、一般的には半分以上ですが、児童養護施設の入所者は20%前後と非常に低い状況なので、チャンスを広げていくことが大事だと思っています。
ポイントは2点で、1点目が経済的支援です。
神戸やまぶき財団の奨学金メニューなど、民間でしっかりとやっており、充実しつつあります。塾や予備校に行くなどの支援を県がやっていきたいと考えています。
大学に進学すること自体、想像ができないケアリーバーもいるようです。社会に出て手に職をつける、仕事を持つ、とアドバイスされることもあるとは思いますが、大学に進学するイメージやプランづくりに向けた支援もしていくべきだと思っています。
また、社会に出ると1人になってしまうので、ケアリーバー専門の相談窓口を開設することで、相談やコミュニケーションをしていく体制を強化していくことが大事だと思っています。
記者:
若者・Z世代支援の関係でお伺いします。
8月の就任3年目会見の時には、人口減対策と説明された印象がありましたが、当然、そこにも繋がっていく考えでよろしいでしょうか。
知事:
県の人口減少は大きく、外国人含めるとプラスに転じている面もありますが、大学卒業後の20代の転出超過が非常に進んでいます。
ひょうご経済・雇用戦略推進会議の中でも指摘がありましたが、大学卒業後に就職先を外に選んでいくだけではなく、大学の入試の段階から兵庫県の子どもたちが県外の大学に進学する傾向が強まりつつあるという声がありました。
大学卒業時だけでなく、大学入学の段階から、魅力ある大学の環境整備や県内定着に向けたいろいろな施策をしていくことが大事だと思っています。
若者・Z世代応援策は、できるだけ多くの若い世代の方が県内に定着する、Uターンで戻ってくることによって地域の活性化につなげていくことで、社会の担い手を出来るだけ増やして行きたいと思っています。
記者:
ユニバーサルツーリズムの関係でお伺いします。
今回、エリア支援で打ち出されていますが、狙いを教えてください。
知事:
ユニバーサルツーリズムは、障害のある方、高齢者、外国人含めて多様な方々が旅行しやすい、レジャーを楽しみやすい地域づくりに向けた大事なポイントだと思っています。
県は全国で初めて特化条例を作り、施策を展開していますが、人材育成、宿の受入体制、旅行しやすい観光地づくりの3つがポイントになります。
1点目の人材育成では、県内各地でユニバーサルツーリズムの普及促進を図るコンシェルジュの育成は3年目を迎えます。
宿の受入体制も、「ひょうごユニバーサルなお宿」の登録がだいぶ進んできており、それが広がっていくと思っています。
問題は、宿を中心とした観光地の広がり、例えば、城崎温泉であればそぞろ歩き、湯村温泉では周辺を歩く、姫路ではお城の周辺をどうするかなど、バリアフリー空間を、観光地を中心に面的に考えることが大事だと思っています。
そこで、地域ぐるみで、ユニバーサルツーリズムに取組む観光地を指定し、2分の1の補助をしていきたいと考えています。
具体的には、観光施設のバリアフリー化として、例えば、足湯に手すりを付ける、スロープまで付けられるか分かりませんが、ソフト面でも、車椅子や筆談タブレットの購入支援、移動の面ではスライド式ドアのタクシーの導入にもつなげていくことができれば良いと考えています。
記者:
温泉地が念頭にあるイメージでしょうか。
知事:
兵庫県の非常に魅力溢れる旅行地の一つは温泉地なのでポイントになってくると考えています。
記者:
今回の当初予算に関する発表方法で伺います。
従来に比較して、前倒しで、来年度当初予算案の施策を発表するケースが多かったかと思うのですが、この狙いを教えてください。
知事:
当初予算を一括で発表するやり方も大事で、これをベースにしてますが、政策形成のプロセスの見える化をしたいという思いでやらせてもらいました。
また、市町や関係者が、予算の準備をしやすくするための意味合いもあります。
若者・Z世代支援パッケージや人材確保も、基本的に検討会を立ち上げプロセスを作ってきました。それら検討会の資料をホームページでオープンにすることを、できるだけ早く丁寧にすることをしてきました。その検討会の方向性が見えてきた段階で、来年度の予算案の方針を示し、具体的内容を示すようにしてきましたので、それが当初予算発表の前倒しにつながっています。
不登校支援などは、市や町の予算が非常に大事なポイントになります。12月の段階で説明したのはそのためです。市町懇話会の中で施策の方向性を出したのも、そのような意図がありますが、いずれも政策決定プロセスの見える化をすると同時に、市や町などの関係者の準備がやりやすくする意味で、発表はできるだけ前倒ししました。
もちろん、予算案として取りまとめた後は、議会に上程して議論をしていきます。
記者:
来年度も同様に検討会を発足するなどして進め、中身については、同様に前倒しをして発表していく、県政運営を進めていくということでしょうか。
知事:
国の政策は、国の全体予算の前に検討会を別にやっており、自民党の部会などに諮り、政策決定が発表前に見える化されています。
やはりプロセスの見える化を来年度も基本的にやっていきたいと考えています。
記者:
医師の働き方改革の支援で伺います。
神大病院から長時間労働の病院に医師を派遣する支援との説明がありましたが、神大病院自体も上限960時間を超える水準に認定されると聞いています。
派遣元の業務改善にも支援があるとのことですが、医師派遣によって根本的な働き方改革の改善にどれぐらいの効果が期待されているのか、どのように受けとめているのか教えてください。
知事:
医師の働き方改革はしっかりと準備をしなくてはなりません。上限規制は、ある種の経過措置で、数年間かけて準備をしていくことになります。
今年は、医師の派遣をやっていくことから始め、ポイントはDXやAIの画像判断です。医師以外のスタッフがサポートできる体制を数年間の間に準備していくことが大事だと思っており、そのような意味で、働き方改革の一環で、希望する病院に医師を派遣するスキームに、県内の大学病院等が協力してもらえる形に最終的になれば大変ありがたいと思います。
記者:
私立高校への授業料の補助が増額されていますが、大阪府では私立高校の無償化が進められています。
同じように無償化はなかなか難しいと思いますが、それを意識した対抗策でしょうか。
知事:
兵庫県では私立高校等の授業料無償化は、当面は難しい状況です。
無償化には百数十億円かかるため、財政的に難しいということと、学校側からも、運営の自主独立性と、運営への支援、生徒の負担軽減のバランスを図りながら進めて欲しいという意見があります。
財政状況を勘案しながら、私立高校等への授業料軽減については、少しずつ支援額の加算を実施する一方で、私学の運営費補助も生徒1人当たり単価を年々増額しており、引き続きバランスを図りながら、一歩一歩進めたいと思っています。
記者:
大阪府が出した施策のインパクトがあるので、それをきっかけに、人口流出の恐れもあるのではないかと思います。
その辺はどう考えていますか。
知事:
今年度、県として住宅施策の検討会を実施しました。兵庫県内に転居した世帯へのアンケート調査を実施したところ、転入や引っ越しで地域を選ぶ場合に、子育てのソフト施策を考慮したかというアンケート調査では、4分の3の人は、そこを考慮していない結果が出ています。
最後の、何かのきっかけになるかもしれませんが、多くの人が、価格の安さ、間取りの広さ、通勤の利便性の良さ、小学校含めた教育環境の良さを重視しているデータが出ているので、そこを重点的に実施していくことが大事だと思っています。
そのために、若い世代に選んでもらいやすいような地域として、今回、尼崎からスタートしますが、県営住宅の若い世代向けの枠を増やし、住宅環境を良くしていくことをやっていきます。
県立高校などを中心に、教育がしっかり充実した魅力溢れるような公立高校にし、不登校の問題や兵庫県で義務教育を安全・安心に受けられる環境づくりをサポートしていきたいと考えています。
兵庫県は住みやすい、子どもを安心して義務教育を受けさせられる、レベルの高い教育を受けられるというセットで、若い世代に兵庫を魅力があるものとして売り込むことの方が大事だと思っています。
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