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本日、第346回兵庫県議会の開会にあたり、議員各位の日頃のご尽力に敬意と感謝の意を表します。提出議案の説明に先立ち、諸般の報告をします。
東日本を中心に大きな被害をもたらした台風19号の発生から1ヶ月半が経過しました。
本県は、関西広域連合のカウンターパート方式により長野県の支援に入るとともに、長野県千曲市からの要請に応じ、県内市町の協力のもと、家屋被害認定業務の応援職員を派遣しました。ボランティア活動を行う個人グループの交通費や現地宿泊費を助成する「大規模災害ボランティア活動応援プロジェクト」では、長野県をはじめ、宮城県など8県19市町に対象地域を拡大し、被災地での活動を支援しています。集団での活動には、災害ボランティアバスの派遣を行っています。
応急対応期から復旧復興期への移行に伴う中長期的な応援職員の派遣など、被災地のニーズを踏まえた支援に取り組んでいきます。
自然災害が激甚化、頻発化しています。
県内河川の台風19号豪雨を想定した概算シミュレーションでは、集水域の大きい流域をもつ河川では雨量が大量となるため、氾濫する結果となりました。国の「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」の事業期間の延長、災害の教訓を反映した新たな枠組みの創設、十分な事業費の確保などを求めていきます。
避難対策の充実も欠かせません。県民一人ひとりが逃げ時や避難先等を事前に決めておく「マイ避難カード」や、「ひょうご防災ネットアプリ」の普及に引き続き取り組むとともに、要支援者の避難対策を強化します。また、先月5日の南海トラフ地震を想定した津波一斉避難訓練では、約8万人が参加しました。こうした訓練を継続し、県民の防災意識の向上につなげます。
阪神・淡路大震災から25年を迎えます。
来月1月17日には、安全・安心な社会づくりに向けて歩む決意を国内外や次世代に強く発信する「1.17のつどい-阪神・淡路大震災25年追悼式典-」を開催します。1月の減災月間には、国際防災・人道支援フォーラムなど国際的なイベントや、県民主体の追悼行事等が県内各地で開催されます。引き続き、震災を風化させない「忘れない」「伝える」「活かす」「備える」取組を、県民の参画と協働により推進します。
また、こころのケアセンターが開設15周年を迎えました。あの震災を契機に「こころのケア」の取組を進め、多くの大規模災害、大規模事故等で支援を行ってきました。その中核拠点として、今後も、総合的なこころのケア対策を推進していきます。
去る10月31日未明の大規模な火災による、首里城の正殿をはじめ中心的な建物の焼失は、沖縄県民の皆様はもとより日本中に衝撃を与えました。改めて、心からお見舞いを申し上げます。
沖縄県とは、本県出身の島田叡元沖縄県知事をはじめ戦前戦後を通じた深い結びつきから、沖縄県の本土復帰とともに友愛提携を結び、青少年交流など絆を深めてきました。
友愛県として、首里城の1日も早い再建を支援するため、いち早く首里城火災義援金募集委員会を設立し、義援金の募集を開始しました。また、先月28日には、「のじぎくの塔」と「島守の塔」の慰霊祭にあわせ、見舞金を贈呈しました。今後も、沖縄の歴史のシンボルである首里城の復旧・復興のため、支援に取り組んでいきます。
一方、この火災を教訓として、県内文化財の防火・防犯対策の徹底を改めて周知するとともに、国・県指定文化財の災害予防体制等の調査を実施しています。これまで受け継がれてきた文化財を後生に継承していく取組を進めます。
現行戦略で課題となっている、若者や女性の定着・環流を促進するためには、一人ひとりが望む働き方や質の高い豊かな暮らしが実現できる地域づくりが不可欠です。
次期地域創生戦略は、地域の個性やポテンシャルを最大限発揮する取組を進めます。第一に、産業が活性化し、にぎわいや豊かな交流を育む「地域の豊かさづくり」、第二に、若者の定着や環流を促進する「社会減対策」、第三に、結婚・子育ての希望が叶い、いつまでも健康に暮らせる「自然増対策」の3つの柱のもと、ひょうご五国が持つ強みを活かしたプロジェクトを各地で展開し、人口が減少しても将来への希望が持てる、元気なふるさと兵庫の実現をめざします。
「ひょうごe-県民」の登録者が急増しています。スマートフォン向け携帯アプリの効果で、10月ひと月で8,500名の登録があり2万人を超えました。県内の大学でも、学生用アプリによる在学生や卒業生との情報交流が始まります。e-県民の属性に応じた移住やふるさと情報の提供に加え、県内企業の魅力など、学生に役立つ情報も発信していきます。
大阪梅田で「ひょうご五国博覧会in大阪2019」を開催しました。4万6千人の来場者があり、兵庫五国の多彩な食や文化、ものづくり、くらしなどの魅力を関西圏の方々に広くアピールすることができました。
多自然地域の集落では、新しい地域づくりが進んでいます。
地域おこし協力隊は、本年度創設した県版協力隊15名を含め20市町で111名が小規模集落の活性化の貴重な戦力として活躍しています。10月には、地域おこし協力隊卒業後に、県内に定着し活動しているOB・OGによる「地域おこし協力隊ネットワーク」が設立されました。現役隊員のサポートなど活動の輪が拡がりつつあります。
また、第37回地域づくり団体全国研修交流会兵庫大会が開催され、兵庫の多彩な地域づくりの現場から全国に発信しました。これを契機に、県内外の地域づくりネットワークをさらに強化し、各地の活動や交流を促進します。
本県経済は、輸出を中心に弱めの動きとなるなど、緩やかな拡大の動きに一部足踏みがみられますが、雇用面で、有効求人倍率は高水準を維持しており、所得環境の改善も続いています。米中貿易摩擦の長期化や中国経済の減速による本県経済への影響が懸念されることから、先行きを注視する必要があります。
こうした景気動向に注視しつつ、政府で検討が進められている、海外経済の下振れリスクへの対応や生産性向上のための経済対策に機動的に対応していきます。
先月、ベトナム・ホーチミン市との経済促進会議を開催しました。3回目となる今回は、交流の枠組みを兵庫から兵庫・関西に拡大し、経済交流・協力の一層の促進を確認しました。中国・広東省とは18回目となる日本広東経済促進会を開催し、両国のマクロの経済動向、AIなど産業利用、高齢化に伴うヘルスケア産業での連携等について意見交換を行いました。
引き続き、成長するアジアの経済活力を取り込むため、行政・企業が参画するプラットフォームによる地域間経済交流に取り組みます。
スタートアップ企業を集積・育成し、最先端のテクノロジーの活用によるSDGsの課題解決を図るため、国連プロジェクトサービス機関(UNOPS)のアジア初の拠点となるインキュベーション施設「グローバルイノベーションセンター(GIC)」を神戸市と連携して、本県に誘致します。
スタートアップ企業が挑戦する地域核として、兵庫県・神戸市の世界的なブランド力が高まることが期待されます。
第41回兵庫県民農林漁業祭を開催しました。
県産農林水産物の展示・販売や就農相談会の開催など、2日間で約3万4千人の来場者が、生産者等との交流を楽しみつつ、兵庫五国の秋の味覚を満喫しました。
また、先月に開催された、4年に1度の第6回全国但馬牛枝肉共進会では、但馬牛に魅力を感じた全国の肥育農家から100頭もの出品がありました。世界に誇る但馬牛のさらなるブランド力強化につながることを期待します。
「ひょうご森のまつり2019」を西宮市の甲山森林公園で開催しました。
「豊かな森から川・海へと つながるめぐみ つながるいのち」をテーマに、森づくり活動団体の取組の紹介や里山林整備体験など、林業関係者や森林ボランティア、緑の少年団をはじめ、多くの県民に参加いただきました。県民共通の貴重な財産である森林を次の世代へ引き継いでいくため、果たすべき役割を考え実践する機運の醸成を図りました。
豊かで美しい瀬戸内海の再生に向けた取組を進めています。
瀬戸内海の水質は大きく改善された一方、栄養不足に陥り漁獲量の減少がみられます。望ましい栄養塩類濃度の適切な管理に取り組まなければなりません。このため、播磨灘、大阪湾西部などに放流する下水処理場の生物化学的酸素要求量(BOD)についての本県独自の上乗せ排水基準を撤廃し、下水処理場の排水中の窒素濃度を増加させる季節別運転を円滑に進めます。良好な水質を保全しつつ豊かな生態系の確保をめざします。
2025年には高齢者の約5人に1人が認知症になると見込まれています。国においても認知症施策推進大綱が決定されるなど、その取組のさらなる充実が必要です。
本県では、認知症の早期発見・早期対応を推進するため、独自のチェックシートを活用した予防健診や、企業等への「認知症専門医療・生活相談チーム」の派遣などに取り組んでいます。また、県内19箇所の認知症疾患医療センターに加え、10月から5箇所を新たに指定し医療体制の向上を図りました。
認知症予防はもちろん、認知症になっても希望を持ち、住み慣れた地域で安心して生活ができる社会をめざし、切れ目のない対策を推進します。
緊急対策として準備を進めてきた「ひきこもり総合支援センター」を、本日、精神保健福祉センター内に開設します。神出学園を中核とする青少年への対応に加え、主に中高年を対象に、医療・福祉面の相談、訪問支援から就労援助へのつなぎなど、総合的な支援を実施していきます。
総合リハビリテーションセンターが開設50周年を迎え、記念式典を開催しました。
本県の福祉施策の基幹施設として歩んできましたが、今後、さらに医療・介護の拠点としての機能を強化するため、最先端のリハビリロボットの研究開発や商品化などの取組を推進していきます。
尼崎市内に開設準備をしてきた、障害児者リハビリテーションセンターが、来年2月6日に診療を開始します。地域の訪問看護ステーション等と連携した訪問リハビリの実施と合わせ、県東部の拠点として、年齢や症状に応じた専門的な医療を提供していきます。
暴力団の対立抗争とみられる事件が相次いでいます。
先月27日の尼崎市内での発砲事件など、市街地での事案発生は、県民が巻き込まれるおそれもあり大きな不安を与えました。取締の強化や暴力団排除活動の推進など、警察本部を中心に県民の安全を確保する取組を進めます。
交流・環流の基盤となる基幹道路ネットワークの整備を推進します。
播磨臨海地域道路は、複数のルート帯案について、地域の意見を踏まえ国がひとつに絞り込みます。名神湾岸連絡線は、来年度中に都市計画決定を行い、国に早期事業化を求めていきます。山陰近畿自動車道は、11月に浜坂道路Ⅱ期の起工式を行い、東京で決起大会を開催しました。北近畿豊岡自動車道は、豊岡北インターチェンジの都市計画変更手続きを進めており、残る豊岡から豊岡北間の令和2年度新規事業化を国に強く求めています。
大阪湾岸道路西伸部や中国横断自動車道姫路鳥取線、神戸西バイパス、東播磨道などの事業促進を図り、ミッシングリンクの早期解消をめざします。
神戸空港では、関西3空港懇談会で合意した、発着枠1日80回を活用し、フジドリームエアラインズが松本、出雲に続き、今月20日から高知に就航します。
今後、2025年大阪・関西万博までの中期の取組である、関西空港の発着可能回数の拡大と、神戸空港の国際線を含む空港機能のあり方などを検討するため、関西3空港懇談会の早期開催を働きかけていきます。
3月23日から11月30日まで「明石城築城400周年記念事業」を実施しました。
明石城を核とした地域振興の機会として、何回も訪れていただけるよう常時イベントと季節毎のイベントを展開しました。桜や櫓・石垣のライトアップ、流鏑馬、31万人を数えたB-1グランプリの全国大会など、多くの来訪者で賑わいました。この盛り上がりを、県民の財産である明石城を守り、活用し、次世代に継承する取組につなげます。
「ふれあいの祭典 ふれあいフェスティバルin北播磨」を開催しました。
三木総合防災公園を舞台に、5万7千人の来場者で賑わいました。阪神・淡路大震災から25年の節目にふさわしい、ひょうごの「防災」を広く発信するとともに、北播磨の「農」と「食」や地場産業をはじめ兵庫の魅力を多くの方に伝えることができました。
第9回神戸マラソンが開催されました。
今年は新たに、在関西領事館等から7か国15名の国際交流推進ランナーを迎え、好天の中、約2万人のランナーが疾走、男子・女子ともに大会新記録も生まれました。
来年は第10回の節目となります。「感謝と友情」のテーマのもと、1 ランナーの満足度向上、2 神戸マラソンファンの拡充を目標に、記念大会として最高のおもてなしに出会える大会をめざします。
ゴールデンスポーツイヤーズの第1弾、ラグビーワールドカップが閉幕しました。日本チームの活躍や世界の人々との出会い、交流は、多くの国民に感動を与えました。ここ神戸でもみせた賑わいとともに、改めてスポーツの力を感じました。この盛り上がりを引き継いでいかなければなりません。
東京2020オリンピック・パラリンピックでは、現在、県内7市で9カ国、24競技のチームの事前合宿が決定しました。地域住民とオリンピアン、パラリンピアンとの交流を通じ、スポーツの素晴らしさが伝わることを期待します。オリンピック聖火リレーは、兵庫五国すべてを巡り、個性あふれるイベントで盛り上げます。パラリンピック聖火リレーは、県内全市町から集められた火を、ひとつの「兵庫県の火」として送り出します。
ワールドマスターズゲームズ2021関西は、いよいよ来年2月1日からエントリー受付が始まります。全国自治宝くじ収益金による支援も承認されました。「見る」「ささえる」スポーツとともに、「する」スポーツへ、誰もが参加でき、ともに楽しめる大会をめざし準備を進めます。
阪神南県民センターと阪神北県民局は、1 管内の2市が中核市へ移行して10年が経過し、県と中核市との役割分担が定着してきたこと、2 防災体制の確立等の広域的な行政課題が増加していることなどから、統合をめざした検討を進めてきました。
在り方検討委員会からは、「統合して阪神全域の地域課題解決力の向上を図るべき」との方向性と、統合後の県民局本局の位置や事務所のあり方などの提言を受けました。提言を踏まえ、統合案の策定を進めます。
職員の給与改定は、人事委員会からの報告及び勧告を踏まえ、国に準じて給料表の引上げを行います。期末・勤勉手当についてもあわせて勧告どおり引上げを行います。
また、来年度からの措置として、初任給調整手当について、獣医師を新たに支給対象に加えるとともに、通勤手当について、パークアンドライドに伴う駐車場利用料金の一部を加算して支給します。
新年度の予算編成が本格化していきます。
令和2年度は、これまで取り組んできた行財政構造改革の成果を礎に、引き続き、県民から信頼される適切な行財政運営を推進していかなければなりません。あわせて、すこやか兵庫の実現に向けて、兵庫の未来を切り拓く新たな取組を推進していく年となります。
予算編成方針の具体的な要求基準は、一般事業枠では、施設維持費が前年度並み、経常的経費と政策的経費が前年度94%の範囲内、その1/2、3%を新規事業枠とします。新規枠では、すこやか兵庫枠が35億円、このうち、10億円をリーディングプロジェクト特別枠として新たに設定しました。地方創生交付金事業は30億円、ひょうご地域創生交付金は40億円です。投資的経費は、地方財政計画の水準を基本に、防災・減災、国土強靱化対策など喫緊の課題に対応する事業費は別枠としています。
国の「新経済・財政再生計画」では、地方一般財源総額は平成30年度水準と設定され、社会保障関係費の自然増、震災関連県債の償還等を考慮すると、本県の財政環境は引き続き厳しい状況が見込まれます。兵庫県行財政運営方針に基づき、選択と集中の徹底による取組の重点化を図り、防災・減災対策、地域創生の推進、リーディングプロジェクトの取組など、県議会各会派の提案等も踏まえ、県民の期待に応える施策を展開する予算を編成していきます。
予算案件は、「令和元年度兵庫県一般会計補正予算」等8件です。
人事委員会の勧告に基づく職員の給与改定に伴い、一般会計で16億5百万円の増額、公営企業会計で2億8百万円の増額の予算補正を行います。
これらの財源として、一般会計は、国庫支出金のほか、普通交付税の令和元年度算定に伴う増額分を活用します。公営企業会計は、令和元年度当期純損益及び内部留保金を活用します。
条例案件は、「職員の給与等に関する条例等の一部を改正する条例」、「兵庫県立障害児者リハビリテーションセンターの設置及び管理に関する条例」等5件です。
その他案件は、兵庫県立但馬飛行場の「公共施設等運営権の設定」等18件です。
専決処分承認案件は、県立尼崎総合医療センターの医療事故に関する「損害賠償額の決定」等2件について、承認を求めるものです。
以上で、提出議案の説明を終わります。
議員の皆様におかれましては、よろしくご審議のうえ、適切なご議決をいただきますようお願いします。
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