ここから本文です。
ただいま上程になりました平成24年度補正予算(案)について、その概要を説明します。
本県経済は、個人消費や設備投資に持ち直しの動きが見られるなど、東日本大震災による落ち込みから回復しつつありますが、長期化する円高や世界景気の減速等を背景として、輸出や鉱工業生産に弱い動きが見られています。
また、企業別の業況判断では、大企業は比較的良いものの、中堅企業や中小企業では依然として厳しい状況にあります。
さらに、有効求人倍率が3ヶ月連続で低下するなど、雇用状況も持ち直しの動きが弱まっています。
こうした状況に対応するため、国の経済対策を活用しつつ、今年度中に着手が可能で、緊急性が高い事業と年末年始の中小企業の資金繰り対策について補正予算を編成することとしました。
なお、財源については、国庫補助金、地域自主戦略交付金、後年度に交付税措置のある県債など、特定財源の活用を基本としました。
地震、風水害など、大規模災害への備えを進めるため、防災・減災対策に取り組みます。
緊急輸送道路の機能を確保するための道路拡幅やバイパスの整備など、道路の緊急整備を実施します。河川については、今後災害発生のおそれのある箇所等を対象に、河道掘削、堤防強化などの緊急整備を進めます。農林水産施設については、決壊のおそれがあるため池の堤防改修などの緊急整備に取り組みます。
また、港湾施設や県営住宅、下水道施設などについても、耐震補強などの必要な措置を講じます。
先日、中央自動車道笹子トンネル内で天井板が崩落し、9名の方がお亡くなりになるという痛ましい事故が発生しました。天井部のボルトの老朽化が原因の1つと考えられています。
本県が管理している道路には類似形状のトンネルはありませんが、兵庫県道路公社が管理する遠阪トンネルが類似形状を持っています。平成16、17年に吊り金具等の補強工事を施していますが、念のため近接目視・打音・触診による緊急点検を実施したところ、異常は認められませんでした。
また、同じく類似形状を持つ神戸市道路公社の六甲有料道路六甲山トンネルや山麓バイパス第二布引トンネルについても、点検の結果、異常がないとのことです。阪神高速神戸山手線神戸長田トンネルや新神戸トンネルについては、現在点検作業が進められています。
今後、笹子トンネルの事故検証委員会で新たな点検手法が示された場合には、改めて点検を実施するなど適切に対応します。
それにしても、高度経済成長期に大量に整備した社会基盤施設の老朽化対策を進めていく必要があります。老朽化する社会基盤施設を維持するためには、適時適切な修繕や更新が不可欠です。
このため、橋梁補修、排水機場ポンプ分解整備、港湾施設改良など、早期着手が可能な事業にさらに取り組みます。
登下校中の児童生徒等が巻き込まれる交通事故が相次いで発生したことを踏まえ、今年の夏に、県下の全公立小学校等の通学路を緊急点検しました。
この結果判明した要対策箇所のうち、早期着手が可能な箇所について、路肩拡幅や防護柵設置などの交通安全対策を進めます。
昨今の厳しい雇用環境の中にあって、福祉・介護分野では人材の確保が困難となっており、介護福祉士等養成施設においても著しい定員割れが生じています。
若い人材の福祉・介護分野への参入を促進し、将来にわたって安定的に人材を確保するため、介護福祉士等養成施設の就学者に対する修学資金の貸付原資を県社会福祉協議会に追加交付します。また、生活保護世帯の方の将来の就労自立を図るため、貸付対象者が生活保護受給者の子の場合には新たに生活費を加算します。
障害福祉サービスの基盤を整備するため、社会福祉法人等が実施する共同生活介護・共同生活援助事業所の整備を支援します。
長期化する円高や海外経済の減速等による景気への影響が懸念されます。
このため、年末年始の資金対策として、新たな資金需要や既往資金の借換需要にも対応できるよう、中小企業制度融資の目標額を200億円引き上げます。
第6は、大型太陽光発電施設整備事業の早期着手です。
三田カルチャータウン地区及び網干沖地区で実施する大型太陽光発電施設の整備に早期着手するため、事業者との契約等に必要となる債務負担行為を設定します。
以上、歳出予算等について説明しましたが、その予算規模は、
一般会計で、125億4千6百万円の増額、
特別会計で、2億3千万円の増額です。
以上で、提出議案の説明を終わります。
議員の皆様におかれましては、よろしくご審議のうえ、適切なご議決をいただきますようお願いします。
なお、青野運動公苑県有地信託事業の民事調停における神戸簡易裁判所の決定に対して、今議会開会日に、異議を申し立てず受け入れる旨のご議決をいただきました。残念ながら、裁判所から信託銀行が異議を申し立てた旨の通知を昨日、受領しました。
今回の裁判所による決定は、本事案のこれまでの経過を十分聴取・勘案した上で、当事者双方の衡平を考慮し、出されたものです。それにもかかわらず、信託事業の受託者である信託銀行が、このような裁判所の意図や県民の代表たる県議会の総意を汲み取っていただけなかったことは、はなはだ残念であると言わざるを得ません。
今後は、信託事業終了に向けた協議の中で、信託銀行に対し、事業の経営改善や最終債務の負担などについて、信託契約に基づき、受託者として責任ある対応を強く求めていきます。
議員の皆様のご理解とご協力に感謝申します。
お問い合わせ