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本日、第307回兵庫県議会の開会にあたり、提出議案の説明とあわせて諸般の報告をします。
現在の経済状況は、総じて堅調な動きであるものの、回復の動きは減速しています。
鉱工業生産指数は、増加のペースが鈍化し、アジア向けを中心に増加を続けている輸出も、その伸びは鈍化、個人消費は、乗用車販売でエコカー補助金終了に伴う反動減がみられるなど弱い動きとなっています。さらに、円高の進行、デフレ傾向の継続、海外景気の下振れ懸念などにより、先行きに対する懸念が強まっています。
また、雇用情勢も、10月の有効求人倍率が0.53倍と、持ち直しの動きがあるものの、依然、大きなミスマッチが生じています。特に、来春卒業予定の高校生の就職内定率は、10月末で69.0%と厳しい状況が続いており、このため、「新規高卒者等就職支援対策会議」による全庁横断的な支援体制のもと、就職開拓支援員を設置し、ハローワークと連携した企業説明会や高校就職指導担当教員と企業担当者との交流会を追加開催するなど、就職支援の一層の強化を図っています。
このような経済雇用状況に鑑み、中小企業の資金繰り対策として、円高の進行やデフレの継続等の影響に伴う、中小企業の年末・年度末の資金需要に対応するため、経営円滑化貸付の融資目標額を500億円増額し、2,500億円に拡充します。この結果、中小企業制度融資全体の目標額は、5,000億円から5,500億円の規模となります。
あわせて、金融対策特別相談窓口において、年末の金融相談に対応します。
また、厳しい雇用情勢を踏まえ、「緊急雇用就業機会創出基金」(重点分野雇用創造事業分)を積み増しし、事業の実施期間を24年度末まで1年間延長するとともに、緊急に実施すべき事業による雇用の創出を図ります。
介護保険施設等での介護人材の確保、小規模作業所等の新体系移行への支援や授産製品の販路開拓、アジア・欧米からの誘客促進、県立学校の就職開拓支援、県立社会教育・文化施設の展覧会事業の充実、外国人県民への教育支援など、現行の重点分野に「教育・研究」を加えた11の重点分野における緊急性・必要性が高い事業を実施し、市町事業とあわせ、新たに約5百人の雇用創出を図り、今年度は、既に実施している事業分を含め、約9千3百人の雇用を創出します。
妊婦の健康管理を支援するため、「妊婦健康診査支援基金」を積み増しし、妊婦健康診査助成事業の実施期間を23年度末まで1年間延長するとともに、検査項目を追加します。
また、国の補正措置により、ワクチンによる感染予防効果の高い子宮頸がん及び細菌性髄膜炎を予防するため、「ワクチン接種緊急事業基金」を設置します。これにより、市町が実施する子宮頸がん予防ワクチン、ヒブワクチン、小児用肺炎球菌ワクチンの接種に対し助成します。
なお、本事業の実施に伴い、県独自に行っている小児細菌性髄膜炎予防接種事業は、廃止します。
保育サービスや地域子育て支援の充実、児童虐待の防止等を推進するため、「安心こども基金」を積み増しするとともに、事業の実施期間を23年度末まで1年間延長します。
児童虐待防止対策については、こども家庭センター心理担当職員の増員による体制を強化します。また、こども家庭センター面接相談室の改修、一時保護所の居住環境の改善、市町相談員を対象とする児童福祉司任用資格取得講習会等を行うとともに、市町の実施事業費を確保します。
こども家庭センターでは、一時保護を含む全ての虐待ケースを、関係機関等が参画した家庭復帰等評価委員会に諮り、市町の要保護児童対策地域協議会と連携した子どもの確実な見守りに取り組みます。この11月の「児童虐待防止推進月間」においては、地域の女性団体等が参加する「子育て応援ネット全県大会」、プロサッカーチーム「ヴィッセル神戸」と共同した普及啓発、県医師会・児童委員と協働した「児童虐待防止県民フォーラム」を開催するなど、オレンジリボンキャンペーンを県内各地で展開しました。
今後とも、県、市町、地域が一体となった虐待の早期発見・早期対応に取り組んでいきます。
高度・専門医療や救命救急センターなど三次医療圏単位の広域的な医療提供体制の整備・拡充を図るため、「地域医療再生・医療施設耐震化支援基金」(地域医療再生事業分)を積み増しします。
ドクターヘリの効率的・効果的な運航を図るため、公立豊岡病院組合の格納庫、給油設備等の整備を支援します。
また、新型インフルエンザの発生に備え、県指定専用外来医療機関へのサーモグラフィ整備を推進するとともに、臨時専用外来対応用の個人防護具を配備します。
うつ病に対する医療等の支援体制を強化するため、「自殺対策強化基金」を積み増しするとともに、精神科医療従事者への研修を行います。
地域の介護サービス基盤を充実するため、「介護職員処遇改善・介護基盤整備等支援基金」(介護基盤整備等支援事業分)を積み増しし、認知症高齢者グループホーム等の防災補強整備や小規模老人福祉施設等の地域密着型施設の整備を促進します。
また、障害者自立支援法の施行に伴う新体系サービスへの移行を一層推進するため、「障害者自立支援特別対策事業基金」を積み増しし、旧法指定施設や小規模作業所等が行う施設改修や設備・備品等の整備を進めます。
介護職員等による「たんの吸引等医療的ケア」の体制を整備するため、高齢者施設や障害者支援施設等が行う実地研修に必要な機器整備を支援します。
地域において日常的な支え合い活動を行う体制を整備するため、「介護職員処遇改善・介護基盤整備等支援基金」(地域支え合い体制づくり事業分)を積み増しし、シルバー仕様の公営住宅や高齢者のみの世帯が多い公営住宅を対象に、市町が実施するLSA配置事業、LSA24時間配置モデル事業を支援するなど、地域の実情に応じた地域支え合い体制づくり事業を展開します。
住宅の耐震改修を促進するため、わが家の耐震改修促進事業において、1戸あたり30万円を加算する定額補助制度を創設するとともに、私立学校の耐震改修工事に対し公立学校との均衡を図るため上乗せ助成を行っている私立学校耐震化補助事業により、私立学校の耐震化を促進します。
ホームレスやネットカフェ難民等の生活困窮者の生活・就労を総合的に支援するため、「緊急雇用就業機会創出基金」(セーフティネット支援対策事業分)を積み増しし、NPO法人等との協働により、生活・就労相談、一時宿泊所の提供等生活支援、技能訓練講習や就労訓練を実施します。
また、失業者など低所得者等に対し総合的な資金支援を行っている生活福祉資金貸付金について、貸金業法の改正による消費者金融からの借入制限や今後の資金需要に対応するため、「緊急雇用就業機会創出基金」(生活福祉資金貸付事業分)を積み増しし、貸付原資を確保します。
新たな高齢者医療制度については、この度、国の高齢者医療制度改革会議において、「現役のサラリーマンとその扶養家族を除いた75歳以上の高齢者は、国民健康保険に加入し、都道府県単位の運営主体が運営する、将来は、全ての年齢層を都道府県単位の運営主体に統合する」とする案が示されました。
現在の医療保険制度は、市町村国民健康保険や健康保険組合、全国健康保険協会、共済組合等多くの保険者が分立しており、加入する保険者によって保険料負担に格差が生じています。
仮に、新制度の運営主体を都道府県とするのであれば、現在の医療保険制度の問題点を放置したまま、低所得者や高齢者が多いといった国民健康保険の構造的課題を都道府県に転嫁するものであり、受け入れることはできません。
このため、(1)都道府県の役割の検討にあたっては、国を保険者とする医療保険制度の一本化を前提とすべきであること、(2)医療保険制度を一本化するまでの間は、国民健康保険の保険者を二分することなく、従来どおり市町村が保険者の役割を担うべきであることを、本県として国に提言しました。
また、全国知事会では、現行制度を廃止して新制度へ移行しなければならない積極的な理由がないとの考えを示した上で、都道府県が、運営に主体的にかかわるためには、(1)国が財政面で一層の責任を果たすこと、(2)市町村が責任を持って保険料の収納率を高める仕組みとすること、(3)国として市町村国保が抱える構造的な問題の抜本的な解決策を示すこと、などの条件が満たされる必要があるとしています。
これらを踏まえ、引き続き、将来にわたり国民皆保険を維持し、生活の安心と安定を確保する制度となるよう、全国知事会とも連携して、国に求めていきます。
消費者行政については、県、市町、消費者、事業者が一体となった取組を推進しています。
次世代の消費者リーダーとなる「くらしのヤングクリエーター」300名の養成を目指し、県と大学生協との協定に基づいた「消費者セミナー」や「e-ラーニング」に着手したほか、大学生協SNSを活用した消費生活情報の配信を始めました。
また、市町の相談員を養成する「ひょうご消費生活相談プロフェッショナル塾」の開催等により、既に40市町に消費生活センターが設置され、年内には、全国で初めて、全市町に設置されます。これにより、市町での消費生活相談体制が整備されることとなるため、今後、県としては、市町や消費者団体に対する専門的・広域的な支援を中心に展開していきます。
森林・木材産業の再生を推進するため、「森林林業緊急整備基金」を積み増しします。
これにより、市町や森林組合が行う里山再生のための森林病害虫対策等を支援するとともに、県産木材をPRするため、展示効果の高い施設での木質内装化を行います。
あわせて、店舗・事務所、マンション、戸建て住宅等の民間建築物への県産木材利用を推進するため、県産木材使用量に応じた助成制度を創設します。
木材の加工流通拠点として整備が進められてきた「兵庫木材センター」が、完成しました。当センターの稼働により、原木供給量が、年間13万?から26万?へと倍増し、本県林業の再生と発展につながるものと期待されます。
このため、原木の安定供給の確保と県産木材ニーズの開拓に向け、引き続き、原木供給能力の高い森林の団地化、「ひょうご林内路網1,000キロ整備プラン」の推進、高性能林業機械の導入を支援するとともに、「ひょうごの木造・木質化作戦」による県産木材の需要拡大を推進します。
「ひょうご森のまつり2010」を開催しました。
緑豊かな神鍋高原に位置する県立但馬ドーム周辺を舞台として、「環境と経済が共鳴する森づくり」をテーマに、地元や多くの森林ボランティアの協力を得ながら、森や自然について学び・体験する様々なイベントや、災害に強い森づくり事業の展示を行い、森の重要性について理解を深めました。
今後とも、県民共通の財産である森への関心と理解を高め、県民総参加の森づくりを推進します。
過日、国において、「包括的経済連携に関する基本方針」が閣議決定され、環太平洋パートナーシップ(TPP)協定について、その情報収集や国内の環境整備を早急に進め、関係国との協議を開始するとしています。
経済がグローバル化する中、TPP協定の協議が進められること自体は理解できるものの、国内農業に大きな影響を及ぼすものと考えられます。このため、TPP協議にあたっては、食料自給率の向上や農業・農村の振興と両立させ、持続可能な力強い農業を育てるための対策を明確に示すよう国に求めていきます。
先月29日、島根県の養鶏農家で、国内では1年9ヶ月ぶりとなる高病原性鳥インフルエンザが確認されました。
直ちに、「県高病原性鳥インフルエンザ警戒本部」を設置しました。
すでに、家きんを飼養している生産者を対象に、島根県における発生状況や防疫対応などについて情報提供するとともに、農場への立入制限や車両・畜舎等の消毒の徹底、24時間通報体制の整備などの注意喚起を図っています。
また、県内家きん飼養農家へ消毒薬を配布し、全戸一斉消毒を実施します。
あわせて、家きん飼養農家や一般消費者からの相談窓口の設置、養鶏農場への巡回立入検査、渡り鳥の糞便検査、食鳥検査の強化、風評被害に向けた普及啓発に取り組みます。
山陰海岸ジオパークが、世界ジオパークネットワークに加盟認定されました。
玄武洞の地質学的価値、山陰海岸の多様な地形・地質、そこで育まれたコウノトリの野生復帰など、山陰海岸の持つ多彩な魅力はもとより、ジオパークの取組への地元の理解と協力が、高く評価されたものです。
加盟を記念して、山陰海岸ジオパークの魅力を発信する110キロウォークやジオパークフェスティバル等のイベントを行ったほか、来年2月には、世界ジオパークネットワーク委員を講師に招いた国際会議を開催し、世界に向け情報発信します。
今後とも、鳥取県、京都府をはじめ関係市町と連携を図りながら、世界に誇れるジオパークとなるよう取組を推進します。
コウノトリの野生復帰事業の成果を世界に発信するため、秋篠宮同妃両殿下のご臨席のもと、第4回コウノトリ未来・国際かいぎを開催しました。
コウノトリ野生復帰事業の展望と生物多様性ひょうご戦略の展開などを核として、内外の研究者や関係者等による議論を深めました。
今後とも、本県の先導的な取組を発信するとともに、地域が一体となって、コウノトリの野生復帰事業を推進します。
関西圏で最も日照時間が長い淡路市の地域特性を活かし、県と淡路市が一体となって整備を進めてきた、「メガワットソーラー発電施設」が完成しました。
これにより、あわじ環境未来島構想推進の先導モデルとして、CO2の排出を削減するだけでなく、グリーンエネルギーの普及促進や環境配慮型企業の誘致に寄与するとともに、環境学習の拠点として期待されます。
公共事業については、河川改修や道路防災工事等の災害防止対策、バイパス整備など地域間連携の強化、道路の舗装や橋梁の修繕、連続立体交差事業等による交通の円滑化を推進します。また、農業経営の安定化に資する農地の区画整理や林道・漁場整備等農林水産業の生産基盤の強化を図るなど、活力ある地域づくりを進めます。
県単独事業については、追加交付される普通交付税を活用して、山地防災・土砂災害対策緊急5カ年計画における治山ダム・砂防えん堤工事を前倒し実施します。橋梁等の老朽化対策や県民利便施設の機能向上も図ります。
また、「地域活性化・きめ細かな交付金」を活用して、道路の局部改良、簡易な代替歩道の整備等の地域道路や護岸修繕等の河川の整備を実施します。
「地域活性化・住民生活に光をそそぐ交付金」を活用して、消費者行政の推進、DV対策、高齢者対策、障害者対策、研究機能の充実等に資する事業を実施します。
国の補正措置により、NPO法人や団体等が行う地域づくり活動を支援するため、「地域づくり活動支援基金」を設置します。これにより、NPO法人等の活動基盤の強化など自立的な取組を推進します。
平成12年度から整備を進めてきた、鳥取豊岡宮津自動車道「余部道路」が、今月12日に開通します。
この開通により、既に供用済みの香住道路や東浜居組道路とあわせて、広域的なネットワークが強化されるとともに、山陰海岸ジオパークに点在する豊かな観光資源を結ぶ「ジオパークロード」の一区間として、地域の活性化に大きく寄与することが期待されます。
引き続き、高速道路空白地帯の解消に向け、北近畿豊岡自動車道、鳥取豊岡宮津自動車道の整備を推進します。
県立舞子公園に移築復元工事を進めていた「旧武藤山治邸」が完成しました。
これにより、園内には、「移情閣」と「旧木下家住宅」をあわせ、明治・大正・昭和の3つの時代と、洋・中・和の3つの文化の趣をもつ歴史的建築物がそろいました。
「ふれあいの祭典北摂フェスティバル」を開催しました。
都市近郊の自然あふれる北摂の里山、県立有馬富士公園を舞台に、パーク&ライド、ごみ持ち帰り運動など環境に配慮した運営のもと、地域づくり団体やNPO、学生など市民総参加により、「ひょうご野菜カレッジ」「Ecoファッションショー」「こども文化フェスタ」などの手づくり感あふれる多彩なイベントを開催し、約7万3千人の来場者による地域と世代を越えた交流を深めました。
ブラジル・パラナ州との友好提携40周年を記念し、同州を訪問しました。
両県州の一層の交流促進に向けて、州知事と協議を行うとともに、経済交流の増進、人材育成の推進、観光交流の促進など幅広い分野での交流と協力に関する共同声明に調印したほか、友好代表団、県議会訪問団、県民交流団らとともに、記念式典に出席し、交流を深めました。
この訪問に併せ、創立50周年を迎えたブラジル兵庫県人会、アルゼンチン兵庫県人会の記念式典に出席するとともに、高齢者表彰状、県人会感謝状を贈呈しました。
また、準姉妹県であるフランスセーヌ・エ・マルヌ県を訪問し、今後の交流促進に向けた協議を行いました。
今月下旬には、貿易・投資の促進や関西国際空港との航空路線の拡大を視野に、経済発展の著しいインドへ訪問団を派遣し、経済セミナーの開催等を通じて、新たな経済交流を推進します。
国において、関西国際空港と伊丹空港の経営統合スキーム案が公表されました。
この経営統合が、単に、伊丹空港の収益による関空の財務の改善に止まるのではなく、関西の浮揚に向けた航空需要の拡大につながらなければなりません。
そのためにも、(1)急ピッチで進む首都圏空港の機能強化に遅れることなく、高すぎる着陸料の大幅な軽減を行い関空のハブ機能強化を急ぐこと、(2)事業運営権の価値の向上につながるよう、オープンスカイの流れのなかで、伊丹空港、神戸空港で制限されている便数、運航時間、国際チャーター便などの規制緩和に取り組むこと、(3)伊丹空港の環境対策や関空の債務縮減に対する国の責任を明確にすること、(4)関係する団体・企業に不利益が生じないよう取り扱うことが必要です。
このため、今後、関係自治体等とも連携し、国と協議していきます。
関西広域連合については、このたび、総務大臣から設置許可をいただきました。
明日、第1回広域連合委員会を開催し、初代の広域連合長を選挙するほか、組織体制などを決定します。これにより、府県域を越えた広域行政の推進体制が正式にスタートすることになります。
政府が掲げる国の出先機関の原則廃止に対して、国の各府省は、「自己仕分け」を行いましたが、地方に広域事務の受け皿がないことなどを理由に多くの事務を国に残すとしており、さらに、ハローワークについては、国と地方の役割分担が不明確な「国と自治体による共同運営方式」を提案するなど、地方分権に逆行する動きすら見られます。
このため、過日開催した近畿ブロック知事会議においても、広域連合が移譲を受けることができるよう、広域連合に対策委員会を設置して取り組むことを方針決定しました。
今後とも、広域連合の事業の具体化はもとより、国の出先機関の事務・権限を一括移譲することを要請するとともに、年内に策定予定の「アクション・プラン」においても、広域連合の存在を前提として検討するよう求めるなど、関西から分権改革の突破口を開いていきたいと考えています。
義務付け・枠付けの見直しについては、地方が強く求めていた見直しが先送りされるなど、不十分なものとなっています。
このため、保育所における給食の外部搬入など本県の提案も含め23項目の地域の実情に合わない義務付け・枠付けの見直しについて、構造改革特区制度を活用し、全国47都道府県知事の連名で共同提案を行いました。
また、義務付け・枠付けの見直しや国と地方の協議の場などが盛り込まれた「地域主権関連3法案」については、地方6団体からの強い要請にもかかわらず、今臨時国会でも成立が見送られるなど、地域主権改革の後退が懸念されます。
地方税財政については、国の財政制度等審議会において、地方財政計画の過大計上が地方交付税総額の過大計上に繋がるといった、地方財政計画の役割を理解していない、一方的な議論がなされました。
地方財政計画は、地方財政全体の標準的な歳入歳出の見積もりに基づく、マクロでの地方財政運営の枠組みであり、一方、決算額は、個々の地方公共団体における実際の歳入歳出を積み上げたものであります。地方財政計画と決算額は、本来一致することを前提とされていない中で、地方財政計画と決算額との乖離に着目した議論は、地方交付税の削減を目的とした恣意的なものです。地方公共団体における地方交付税の重要性や、財源保障機能・財源調整機能を強化するための地方交付税の復元・増額について、全国知事会と連携して、強く主張しました。
一括交付金化については、政府(案)が示されたものの、地方の裁量性が高まるのか、対象となる補助金の範囲や金額、各府省の関与等、具体的な制度設計が不明確であるなど、来年度の地方財政対策や国の予算編成に向けては、予断を許さない状況にあります。
このような状況を踏まえ、適切な地方財政規模や地方一般財源の確保、地方交付税の機能の復元・強化、地域主権改革に当たっての適切な措置等について、全国知事会地方交付税問題小委員会として、提言を取りまとめ、政府与党等に働きかけました。
また、本格化する国の来年度予算編成等に対して、災害援護資金貸付金の償還期限の延長など阪神・淡路大震災からの復興の推進と震災への備えの強化、名神湾岸連絡線の早期PI(パブリック・インボルブメント)着手など基幹道路ネットワークの充実、TPP(環太平洋パートナーシップ)協定協議の影響や米価下落等の厳しい環境の中で持続可能な力強い農業を育てる取組の推進、あわじ環境未来島構想などの本県提案を反映した総合特区制度等の早期創設、関西国際空港のハブ機能の強化など関西の航空需要等への的確な対応をはじめ、本県が直面する県政課題に関する50項目にわたる提案を取りまとめ、政府に働きかけるとともに県関係国会議員や関係各府省等に説明を行いました。
今後とも、国の地域主権改革や来年度予算編成などの動向を注視し、全国知事会とも連携して、地方分権の推進と地方税財源の充実強化等に向けて取り組みます。
行財政構造改革については、平成20年度に新行革プランを策定し、震災で悪化した財政の改善を図りながら、全力で改革に取り組んでいます。
これまでの3年間の取組は、概ね、新行革プランの枠組の中で進捗しているといえますが、今年度が新行革プラン3年目の総点検の時期でもあり、このたび、総点検を踏まえた「第2次新行革プラン(第一次案)」をとりまとめました。
新財政フレームとしては、6月に国が示した経済成長率(慎重シナリオ)や財政運営戦略の中期財政フレーム等を踏まえた試算の結果、これまでの対策を行っても、さらに収支不足額が1,645億円生じる厳しい見通しとなりました。
このうち、経済成長率の低下に伴う収支悪化分、約1,145億円については、県民生活への影響にも配慮しつつ、その概ね1/2は、事務事業のさらなる見直しや投資規模の適正化など歳入歳出対策を行い、残り1/2は、特別な追加財源対策として、さらなる県債管理基金の活用で対応することとしています。
また、国の中期財政フレームにより、平成23年度からの3年間、地方税、地方交付税等の地方一般財源総額が、平成22年度と同水準とされることによる収支悪化分、約500億円については、要調整額として、今後、国の財政対策を求めていきます。
今後は、事務事業の見直しや投資水準などを含めて、県議会における調査・審議をはじめ、市町との協議、パブリックコメント等を通じた幅広い県民のご意見をいただいてまいります。
また、新しい財政フレームについては、平成23年度の地方財政対策や国の当初予算を踏まえて再試算することとなります。
そして、平成23年度当初予算編成過程において、第2次新行革プランの最終案を検討し、2月定例県議会に提出していきます。
年度半ばを過ぎ、本年度の本県の財政状況は、普通交付税は、当初予算計上額を上回った決定をみるとともに、県税収入は、当初予算計上額を確保できるものと見込んでいます。
しかしながら、円高の進行やデフレ傾向の継続など経済環境の厳しさが増しており、予断を許しません。このため、引き続き、税収等の確保に取り組むとともに、歳出の効率的な執行に努めます。
また、厳しい財政環境にあっても、経済雇用対策など喫緊の課題に的確に対応するため、国の財源措置を最大限活用し、財政運営に影響を与えないことを基本として、補正予算を編成するなど、適時・適切な対応を図っています。
一方、平成23年度の財政環境は、国の中期財政フレームにおいて、平成23年度から25年度までの3年間、地方一般財源総額を平成22年度と同水準とする枠組みが前提とされているため、大変厳しくなることが予想されます。
このため、新年度の予算編成にあたっては、地方財政対策、国の制度改正や予算編成の動向を十分見極めながら、第2次新行革プラン(第一次案)の基本方向を踏まえ、改革の取組を着実に進めるとともに、選択と集中を一層徹底し、新たな課題に的確に対応した、元気で安全安心な兵庫づくりに資する施策への重点化を図ります。
職員の給与改定については、去る10月15日に行われた県人事委員会からの「職員の給与等に関する報告及び勧告」に基づき、給料表や期末・勤勉手当等の引き下げ改定など、所要の改定を行うこととしました。
また、平成20年度から実施している新行革プランに基づく給与の抑制措置については、来年度も職員の協力を得て、原則として、引き続き継続します。
なお、人事委員会勧告に基づく、期末・勤勉手当の2年連続の大幅な引下げを考慮し、平成22年度に限り、特別職を除く一般職について、期末・勤勉手当の減額措置を一部緩和します。
国庫補助事業及び県単独事業の事務費の執行については、これまでから、適正な経理処理を行うよう周知・指導をしてきましたが、このたび、会計検査院の検査及び県独自の自主調査の結果、不適正な経理処理が行われていました。
平成15年度から20年度までの国庫補助事業で1億8千5百万円余、県単独事業で5千万円弱になります。これらは、経理処理としては不適正でありましたが、いずれも当該事業に充当されており、支出としては、事業目的に即したものであったと認識しています。
県民の皆様には、ご心配をおかけし、お詫びを申し上げます。
今後、関係省庁と協議の上、国庫補助金の返還手続きを行っていくとともに、二度とこのような経理処理が行われることのないよう、実態を十分踏まえた再発防止策の徹底を図っていきます。
これより、提出いたしました議案について、ご説明します。
予算案件は、一般会計補正予算 等4件です。
10月に可決された補正予算に続き、国の「円高・デフレ対応のための緊急総合経済対策」に伴い、県として取り組むべき事業の予算化と中小企業の資金繰り対策を行うため、補正予算を編成しました。
補正予算の編成にあたっては、地域活性化交付金等の国庫補助金、国の交付金を活用して設置・積み増しする基金、雇用対策・地域資源活用臨時特例費として追加交付される普通交付税、元利償還金に交付税措置のある補正予算債などの財源を最大限活用することとし、追加対策に伴う実質的な一般財源負担が、後年度も含め生じないことを基本としました。
その予算規模は、
一般会計で、737億1千9百万円の増額
特別会計で、11億1千7百万円の増額
企業会計で、2億1千万円の増額です。
条例案件は、職員の給与等に関する条例等の一部を改正する条例 等4件です。
事件決議案件は、公の施設の指定管理者の指定 等11件です。
以上で、提出議案の説明を終わります。
議員の皆様におかれましては、よろしくご審議のうえ、適切なご議決をいただきますようお願いします。
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