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提案説明に先立ち、台風第9号等災害により亡くなられた方々に、謹んで哀悼の意を表しますとともに、被害に遭われた多くの皆様に、心からのお見舞いと一日も早い生活再建をお祈りします。
県内各地に甚大な被害が生じた台風第9号については、被害発生と同時に、直ちに災害対策本部を設置し、自衛隊の災害派遣を要請するとともに、消防防災ヘリコプターによる孤立した要救助者の救出、飲料水・食料等救援物資の確保などの救援活動、二次災害を防止する緊急応急工事の実施にあたりました。
私も、佐用、宍粟、朝来など被災地を訪れ、厳しい被害実態を目のあたりにし、被害を受けられた方々にお見舞いと激励をするとともに、一日も早い復旧・復興支援を決意しました。新たに「災害復興室」を設置し、関係部局および地方機関と連携のうえ、この災害からの早期復旧・復興に全力を挙げています。
今回、特に被害の大きかった佐用町、宍粟市、朝来市には災害救助法を、全県には被災者生活再建支援法を適用するとともに、国に対し、激甚災害の早期指定や復旧・復興対策に対する支援について緊急要望を行い、過日、激甚災害として指定されました。
さらに、本県独自の住宅再建共済制度であるフェニックス共済が初めて給付され、阪神・淡路大震災の教訓から生まれた「共助」の仕組みが、自然災害の被災者の生活再建に役立つこととなりました。
県議会各会派からも復旧と支援についての申し入れをいただきました。生活の再建、農業や地場産業の復興など、被災地の復旧、本格的な復興に向けた対策が必要です。
厳しい被災地の実状を踏まえ、被災者生活支援、産業復興、施設の復旧・復興など、被災市町と協力しながら、必要な対策を行うこととし、必要な予算を補正措置しました。
今後とも、被災地の本格復興に向け取り組むとともに、今後も起こりうる自然災害を未然に防止し県民の生命、財産を守るため、防災・減災対策を進め、県民の皆様が、安全で安心して暮らせる県土づくりをめざしてまいります。
新型インフルエンザについては、6月の「ひょうご安心宣言」以降、一時沈静化しましたが、7月中旬頃から再び患者の発生が続き、全国的な広がりをみせ、本格的な流行が懸念されています。
このため、「兵庫県新型インフルエンザ対策検証委員会」の中間報告を踏まえ、学校・病院等の情報収集システムの構築による集団発生の監視・抑制と重症化した患者への医療提供に重点を置いて対応してきました。
この度、検証委員会からの第2波に備えた対策に関する提言に基づき、感染状況や重症者の発生状況に応じて3段階で対策を講じる新型インフルエンザ対策計画(案)を策定し、関係者と協議中です。
重症患者への適切な医療の提供等医療や検査体制の充実、医療機関等への情報提供、学校や福祉関係事業所等の休業に向けた体制整備や代替機能の確保、県民等への普及啓発、県の体制強化など対策を行うとともに、必要な予算を補正措置しました。
引き続き、県民の安全・安心のため、新型インフルエンザの流行に備え万全を期します。
私は、去る7月の知事選挙におきまして、県民の皆様から温かいご信任をいただき、引き続き県政を担当することになりました。初心を忘れず、誠心誠意、県政運営に取り組み、県民の皆様の負託に応えていきますので、よろしくお願いします。
今後の県政運営についての基本的な考え方を述べさせていただきます。
本格的な人口減少社会の到来を目前に控え、成熟社会にふさわしい、21世紀の兵庫を創りあげていく必要があります。このために、まず、風水害をはじめ、高い確率で発生が予測される東南海・南海地震など自然災害への備えや、新型インフルエンザへの備えなど危機管理体制を確立しなければなりません。また、経済安定と雇用の確保、行財政構造改革の推進、少子化、高齢化への対応、都市と農村との格差是正、安全安心の確立など、兵庫が当面する諸課題に一つひとつ対応していきます。
あわせて、変化の激しい時代潮流から見えてきた兵庫の将来課題を踏まえ、新たなビジョンを県民とともに描き、その道筋を確かなものにし、活力を失わない「元気で安全安心の兵庫」の創造に努めたいと考えます。
このため、次の5つの基本姿勢を堅持して推進をしていきます。
第1は「兵庫の自立」です。東京一極構造の脆弱性を是正し、多極分散型の社会構造への転換をめざすとともに、自立した地域が自ら考え主体的に行動する自立共生の兵庫づくりを進めます。
第2は、「多様性の発揮」です。広大な県土の持つ地域の多彩な人材や豊富な資源など、さまざまな潜在力を持つ兵庫の強みを生かし、激しい変化の時代に対応していきます。
第3は、「家庭と地域の再構築」です。家族のきずなを深め、家庭の元気を応援するとともに、女性、高齢者、NPOや活動グループ、企業、地域等の団体などの力を地域に生かします。
第4は、「参画と協働の推進」です。県民と県民のパートナーシップによる「地域社会の共同利益の実現」、県民と県行政とのパートナーシップによる「県行政の推進」の両面で県民の参画と協働をさらに進めます。
第5は、「庁内自治の確立」です。職員一人ひとりが、現場主義を徹底し、主体的に考え職責に臨む職場風土を確立し、新鮮で活力に満ちた県庁をめざします。
この県政推進の基本姿勢をもとに、重点的に取り組むべき課題です。
その1は、新たな時代潮流から見えてきた兵庫の課題を踏まえた「新しい兵庫のビジョンづくり」とその実現に向けた取組です。
その2は、医療、福祉などのセーフティネットの確保や緊急対応としての経済・雇用対策、東南海・南海地震対策など「安全安心の確立」です。
その3は、小規模集落やオールドニュータウンの再生、商店街をはじめ中心市街地の活性化、中小企業の未来への投資の支援など「地域活力の増進」です。これらは、兵庫らしい文化や生活の確立につながります。
その4は、これからの県政の安定を確保し、時代に柔軟に対応できる県政を推進するための「新行革の推進と県政基盤の確保」です。
その5は、東京一極集中の危うさと非効率を是正し、それぞれの地域が地域として自立する社会を構築するための「地方分権の推進」と、関西の広域行政の責任主体となる「関西広域連合(仮称)」の早期設立です。
議員の皆様には、従前にも増してご指導とご鞭撻をいただきますようお願いします。
これからも、参画と協働、共生と連帯を基本としながら、県民本位、生活重視、現場主義の県政を進め、「元気で安全安心な兵庫づくり」に全力で取り組みます。
先の衆議院議員選挙により、政権の交代が起こりました。
国政に変化を求める民意に応えられる改革を着実に進められるとともに、政策転換がもたらすひずみには丁寧に対応し、厳しい経済雇用対策、少子高齢化、地域の活力や各種格差の是正、社会保障の安定などの課題に応えられることを期待しています。
今後の県政運営においては、このような大きな時代の動きを的確に捉え、県民生活への影響を十分踏まえながら取り組んでいく必要があります。
特に、地方分権改革については、国の役割など行政全般のあり方を検討する「行政刷新会議」や、新たな国家ビジョンや予算の骨格を策定する首相直属の「国家戦略室」が設置されましたが、地方の自立、自己責任が発揮される地方主権の確立をめざし、今後、地方の事務や地方税財源の充実、地方財政対策の適切な決定などが図られることを期待しています。このためにも「国と地方の協議の場」が十分機能しなくてはなりません。
来年度予算の概算要求基準の見直し、国直轄負担金制度の廃止、自動車関連諸税の暫定税率の廃止、中小企業法人税率の引き下げなどの制度改正は、地方の財政運営に大きく影響することになります。
こうした状況を踏まえ、私自身、民主党幹部や県関係国会議員に対し、国・地方を通じた行財政システムの制度設計等への地方意見の反映、各制度見直しに伴う地方財源の確保、地方交付税の復元・強化など地方行財政の当面の諸課題について、提案を行いました。
あわせて、喫緊の課題である平成21年度補正予算の見直しにあたっては、地方への配慮について強く要請しました。この要請等を踏まえ、地方公共団体が実施する事業には、一定の配慮がされましたが、引き続き慎重に執行していきます。
平成22年度の予算編成にあたっては、厳しい経済雇用状況のもと、税収のさらなる減収など、国、地方を通じて難しい予算編成になるものと見込まれますが、地方の行財政運営が適切に行えるよう、今後とも働きかけていきます。
まず、安全と安心の確保対策です。
明石海峡船舶衝突事故で沈没した船舶(ゴールドリーダー号)について、第五管区海上保安本部からの要請に基づき、関係者の協力のもと、油抜取りを実施しています。これにより、油流出の懸念が解消されるとともに、漁業者の安心操業、県民の食の安全確保が図られます。
今月5日、東南海・南海地震を想定した兵庫県合同防災訓練を淡路島で実施しました。
自衛隊、消防、警察等104の関係機関や地元市民、総勢約1万2千名のもと、津波からの迅速な避難対策、孤立集落対策などの実践訓練を実施しました。今後とも、訓練の経験を生かして災害の備えに努めます。
阪神・淡路大震災記念人と防災未来センターについては、「防災未来館」と「ひと未来館」との一体的な防災展示の充実に向けた改修を行い、来年1月に再オープンします。
再オープンを機に、観覧料の改定を行うとともに、震災の経験と教訓をより多くの次世代を担う子どもたちへ継承するため、県外小中学生の観覧料も無料にすることとしました。
第2は、健康福祉対策です。
県立加古川病院については、11月から「兵庫県立加古川医療センター」として移転、開院します。これにより、東播磨地域における救命救急医療をはじめ、糖尿病等の生活習慣病医療や緩和ケア医療などより高度で専門的な医療の提供が可能となります。
今月10日からの自殺予防週間を踏まえ、こころのケアセンターでの自殺予防講習会、こころの相談や法律相談の実施など自殺対策を推進しています。特に、来月からは、全ての健康福祉事務所において、予約制による面接相談を開始するとともに、精神保健福祉センターにおいて、こころの相談と多重債務問題等の専門相談をセットで実施することにより、悩みを抱える本人やその家族の相談に対応します。
また、民間団体である「いのちの電話」の開設時間拡大に向けた支援や、県での夜間電話相談窓口の設置により、24時間切れ目のない相談体制を構築します。
今月1日、安全安心な消費生活の実現に向け、消費者庁が設置されました。
県では、4月に設置した「生活消費局」のもと消費者行政を総合的に推進するとともに、地域での体制強化に向け、全市町での消費生活センターの設置を進めています。
専門的知識と実務能力を備えた消費生活相談員を養成する「ひょうご消費生活相談プロフェッショナル塾」を来月開講します。受講修了者を「ひょうご消費生活サポーターバンク」に登録し、市町の相談員確保を支援します。
あわせて、困難な消費者トラブルの解決に向け、県弁護士会で事前調査を行ったうえで、県生活科学総合センター・弁護士・相談者の三者による面談を実施し解決を図る「ひょうご安心サポートシステム」を創設しました。
今後とも、県民のくらしの安心に向け取り組んでいきます。
第3は、経済の活性化です。
本県の経済状況としては、自動車や家電、鉄鋼、情報通信などの生産が回復し、鉱工業生産指数も持ち直しの動きがみられます。しかし、依然として、低水準で力強さに欠け、個人消費も低迷しています。雇用状況は厳しく、有効求人倍率は、4月以降0.4倍台に低下しているなど、厳しい雇用環境となっています。高校生の有効求人倍率も0.7倍台となっているため、新規開拓などに努めています。
長期プライムレートが引き下げられたことに伴い、中小企業制度融資の金利を、来月から引き下げることとしました。引き続き、県内の景気動向や資金需要を見据え、中小企業に対する円滑な資金供給に努めます。
「HYOGO・KOBEが未来をかえていく」をテーマに、「国際フロンティア産業メッセ2009」を開催しました。県内外241企業・団体の参加のもと、先端技術や新産業創出の基盤となる新技術・新製品の展示をはじめ、講演、各種セミナーなど多彩なプログラムを展開しました。これを契機としてビジネス・技術交流が推進され、兵庫経済の活性化につながることを期待します。
また、「感性価値創造ミュージアム in KOBE」を神戸旧居留地で開催しました。生活者の感性に働きかけ、感動や共感を得ることで新たな経済価値を持つ、本県の地場産品など61点の「感性価値製品」を展示するとともに、トークイベントや播州織ファッションショー、夢みる真珠展など、多彩なイベントを実施し、ひょうごの地場産業のブランド力を全国に発信しました。
4月から6月にかけて実施した「あいたい兵庫デスティネーションキャンペーン」については、その期間中、新型インフルエンザの影響により、入込者数の目標は達成できなかったものの、兵庫の観光地の多様な魅力が全国に向けて発信され、これまで知名度の低かった観光地が人気ツアーとなり、また、地域の新しい名物ができるなど、観光地づくりが進みました。
今後、この取組を継承・発展させるため、新たに誕生した観光資源の定着化、効果的な情報発信を行うとともに、引き続き、特別イベントやひょうごのまち歩きなどポストデスティネーションキャンペーンを進め、本県への更なる誘客促進に努めます。
第4は、交流と連携の基盤づくりです。
米国ワシントン州との友好提携45周年を記念し、友好代表団を派遣しました。
経済、文化、観光、教育など多様な分野での交流促進等に関する覚書を締結するとともに、エバーグリーン大学など関係機関との意見交換を行いました。
ハバロフスク地方との友好提携40周年を記念し、同地方を訪問しました。
経済、人材育成、青少年交流、コウノトリ保護増殖など今後の交流事業に関する共同声明に調印したほか、兵庫県議会日ロ友好訪問団、兵庫県極東ロシアビジネスミッション、兵庫県民交流団とともに、記念植樹や記念式典などに参加し、同地方との交流を深めました。
また、四川大地震の被害を受けた中国四川省成都を訪れ、同地の復興に向けて四川省との意見交換、義援金による医療施設再建支援プログラム協定の調印を行ったほか、激甚被災地の一つである都江堰の復興状況を視察しました。
その後、世代間交流や国際理解を深める「ひょうご県民交流の船」に参加し、兵庫県青年洋上大学生をはじめとする県民の方々との交流や意見交換を行いました。
平成23年7月に開催される第19回アジア陸上競技選手権大会の兵庫県・神戸市の共同開催が決定しました。アジア地域で最も権威のある大会で、国内では13年ぶりの開催となります。また、明日から開催される「トキめき新潟国体」においても、目標としている男女総合成績8位以内をめざし、兵庫県選手団の活躍を期待しています。
なお、中国横断自動車道姫路鳥取線は、来年3月に佐用から岡山県大原までの供用が始まります。また、阪神・神戸地域から播磨地域に至る慢性的な渋滞を解消し、地域の競争力強化を図るため、名神湾岸連絡線の住民参加手続(パブリック・インボルブメント)の実施、大阪湾岸道路西伸部の平成22年度事業化を国に求めるとともに、播磨臨海地域道路についても、早期事業化に向け、コスト縮減等の調査を推進しています。
第5は、地方分権の推進です。
7月に開催された全国知事会議では、地方交付税問題小委員会委員長として、地方財政基盤の確立に向け、地方財政計画の適切な算定など「地方交付税の復元・強化に関する提言」を取りまとめ、早速、与野党関係者に要請しました。
直轄事業負担金については、国に対し提案した「負担金の対象範囲等の基準」を踏まえた負担金となるよう国土交通省等と協議しています。
県が行う建設事業に対する市町負担金については、地方財政法等の規定に基づき、市町の受益の限度において負担を求めることとしており、市町が負担すべき事業及び金額を、議会の議決を経て定める必要がありますので、今定例会に提案しています。市町に対し負担金を請求するにあたっては、事業内容及び負担を求める経費の詳細について、県が国に対して求めている内容と同様の説明を行うこととしています。
また、地方分権改革推進委員会の活動も大詰めを迎え、これまでの3次にわたる勧告に沿って関係省庁と調整されていますが、国の出先機関改革については、財源や人員の削減、移管に繋がるような事務権限の見直しはほとんどなく、義務付け・枠付けについても、関係省庁は極めて廃止・縮小に消極的な状況です。このため、新政権のリーダーシップにより、こうした見直しが大きく進むことを期待しています。
関西広域連合の設立に向けた取組については、本県では、特別委員会において、広域事務や組織のあり方などについて議論いただいています。また、各府県においても特別委員会等で議論が進むなど設立に向けて新たな段階に入ってきました。これが設立されれば、国の出先機関の事務の受皿としても期待されます。
去る8月4日には関西広域機構分権改革推進本部会議を開催し、議会との十分な審議を行い、具体的な準備を進めることについて申し合わせたところです。
今後、特別委員会等において議会のご意見をいただきながら、関係府県と調整を行い、設立に向けてさらなる理解を深めていきます。
第6は、行財政構造改革の取組です。
過日、行財政構造改革審議会から、「行財政構造改革推進方策の20年度実施状況については、概ね新行革プランどおりに進捗している」との意見をいただきました。これを踏まえ、今定例会に、行財政構造改革の推進に関する条例に基づき、新行革プランの実施状況を報告しています。
また、公社等経営評価委員会からも、公社等の事務事業等に対する点検・評価をもとに、今後の公社経営に向けた提言をいただきました。
これらの意見や提言を踏まえ、引き続き、新行革プランに基づき、行財政全般の改革を着実に実行していきます。
最後は、今年度の県政運営についてです。
未だ年度半ばではありますが、県税収入については、厳しい経済状況が続き、法人関係税を中心として、当初予算の確保が厳しい状況にあります。また、普通交付税についても、基準財政収入額のうち法人関係税等について、当初予算時の見込額よりも基準財政収入額の算定額が大幅に上回ったことにより、当初予算を140億円下回っています。これらの減収に対しては、交付税の算定額と実税額との差に認められる減収補てん債の活用などにより歳入確保を図るとともに、歳出の効果的・効率的な執行に努めます。
なお、職員の給与改定については、今後、人事委員会からの報告及び勧告を受け、その趣旨を尊重することを基本として、厳しい社会情勢と財政状況等を勘案しつつ、適切に対処していきます。
まず、補正予算案です。
その一は、台風第9号等による災害からの復旧・復興対策です。
この度の災害は、山間部における集中豪雨により、特定地域において、住宅、商店街、地場産業や農業に多大な被害を被りました。このような被災地の実状を十分に踏まえ、被災者支援対策、中小企業対策、農業対策及び施設等の復旧・復興対策に取り組みます。
まず、被災者支援対策です。
災害で亡くなられた方のご遺族に災害弔慰金を支給するとともに、被害の程度に応じて災害援護金を支給します。
被災世帯の生活の立て直しを支援するため、県税の軽減、県立学校授業料など281件の使用料・手数料の減免、福祉医療制度一部負担の免除による医療費負担の軽減措置に加え、私立高等学校生徒に対する授業料の軽減を行うとともに、家財や自動車など生活必需品の修理・買換えに対し無利子の被災者生活復興資金の貸付を行います。
また、小中高等学校へのカウンセラーの派遣や、専門家チームによる被災住民を対象とした訪問相談など、被災地のこころのケア対策を進めます。
家屋の被害が深刻であり、住宅再建が喫緊の課題です。
応急的な対策として、県営住宅や県職員住宅・教職員住宅への一時入居に加え、応急仮設住宅の提供を行っています。
本格的な再建に向け、被災者生活再建支援法に基づく支援金の支給とともに、支援法を補完するため、半壊世帯に25万円、家屋の損害割合10%以上20%未満の床上浸水世帯に15万円を支給する県単独措置を実施します。
あわせて、本県独自の住宅再建共済制度(フェニックス共済)加入者には、再建・購入、補修等に対する共済給付金が支給されることとなります。被災加入者の円滑な再建を支援するため、共済給付金を一部支給することとしました。
また、住宅の建設・購入・補修に係る融資への原則無利子化のための利子補給とともに、被災を受けた住宅の既存の住宅ローンと住宅再建のための新たな住宅ローンの二重の負担を軽減するため、既存の住宅ローンに対し2%を限度として利子補給を実施します。
さらに、高齢者の住宅再建費用に対する100万円の助成、住宅再建のため一時的に民間賃貸住宅に入居する場合の家賃への助成など、被災者の住宅再建に向け積極的に支援します。
中小企業者等の早期再建を図るため、経営再建支援チームを被災中小企業に派遣し、個別の経営状況に応じた指導・助言を行います。
経営円滑化貸付に災害復旧枠を設け、運転資金以外の資金需要に応えることとしました。また、政府系金融機関の災害復旧貸付も含めて、当初3年間の利子補給を行うとともに、借換貸付の金利を引き下げます。
さらに、地域産業振興資金や災害復旧高度化資金により、製造設備の更新等に対する無利子貸付を行い、産地組合など地域産業の復旧を支援します。
被災商店街の機能や賑わいの回復を図るため、被災商店街にコンサルタントを派遣し、商店街や個店等の再建に向けたプランづくりを支援します。
また、商店街の共同施設等の建設・補修に対し助成するとともに、商店街の空き店舗の発生を防止するため、事業継承・新規開業に対し、設備活性化貸付等の融資による支援に加え、内装費や賃料の一部を助成します。
さらに、観光施設や商店街等の再開後の活性化のため、観光協会、商店街、団体等の復興イベントを支援する地域元気回復支援事業を実施します。
地域の医療機関に対しては、国の災害復旧事業の対象とならない在宅当番医制参加病院が行う災害復旧に対し助成するとともに、国や県の助成対象となっていない施設等の災害復旧のために借り入れた資金に対し当初3年間の利子補給を行います。
被害を受けた農業者等の農業再開を支援するため、美しい村づくり資金、農業近代化資金の融資枠を拡大するとともに当初3年間の利子補給を行います。
また、野菜の生育途上において被害を受けた農家に対しては、災害補償金を交付します。
地域農業の再生を図るため、高齢者や女性等による農業者組織や認定農業者等が行う復旧農地を活用した「地域農業再生プラン」の策定や、共同で農業を推進するための直売所、加工施設等の整備に対し助成します。
集落営農組織等が復旧農地を活用して規模拡大する場合には、営農継続に必要な農業機械の導入を支援するとともに、河川復旧計画に併せて被災農地と周辺未被災農地を一体的に整備する場合の農家負担を軽減します。
野生動物防護柵の被害を踏まえ、新設・機能向上に加え、既設防護柵の復旧に対し助成します。
被災を受けた、農地・林道等の農林水産施設、河川・道路等の公共土木施設の二次災害防止のための緊急応急対策を実施しました。今後とも、これらの施設や県有施設、民間施設等の復旧・復興を計画的に進めていきます。特に、佐用川については、下流部の千種川と一体となった河川改良復旧事業等を行い、抜本的な治水対策を進めます。
障害物等の除去を進めるため、倒木や漂着流木の除去処理を支援するとともに、公共造林事業を活用した作業道等の復旧、あわせて砂防えん堤や治山施設など山地崩壊防止対策を積極的に行います。また、今後とも「災害に強い森づくり」など山の適正管理を進めます。
景観条例に基づく景観形成重要建造物や歴史的景観形成建築物等の復旧に係る所有者負担の軽減を図ります。
その二は、新型インフルエンザ対策です。
新型インフルエンザ対策検証委員会からの提言に基づき、今後の第2波に備え、医療・検査体制の充実、医療機関等への情報の提供、感染防止体制の強化を図るとともに、地域の元気回復に取り組みます。
まず、一般医療機関の診療に伴う感染防止を支援するため、クリーンパーテーションや排気型HEPAユニット、インフルエンザ専用外来医療機関にサーモグラフィを追加整備します。
また、新型インフルエンザに感染した腎疾患患者が、透析室以外の場所で透析を受けることができる医療機関を確保するための簡易透析装置の整備、強毒性ウイルスのまん延時に備え、臨時専用外来の設置に向けた陰圧式テントを県で備蓄するなど、医療提供体制の充実を図ります。
PCR検査を効率的に実施するため、検査の前処理を自動で行うRNA自動抽出機を健康生活科学研究所に整備するとともに、ウイルスの変異等を迅速に把握するための検査定点箇所を20箇所に拡大するなど、検査体制を強化します。
インフルエンザに関する情報を一元的に管理する「インフルエンザ情報センター」を健康生活科学研究所に設置します。学校、医療機関等から情報を集約し、インフルエンザの発生動向や外来受診可能医療機関の情報を公表するとともに、患者の受入可能な医療機関や空床情報を一般医療機関に提供します。
学校、社会福祉施設、医療機関等を対象に新型インフルエンザの情報や対策に関する講習会を実施するとともに、「社会福祉施設等の休業時対応マニュアル」を作成し、代替サービスの確保や円滑な利用者の受け入れに備えます。
新型インフルエンザの深刻な影響を踏まえ実施している地域元気回復支援事業について、実施状況を踏まえた採択枠の拡大を図るとともに、風評被害から未だ十分に回復していないことを踏まえ、新たに2期事業として、10月から来年3月まで開催される地域の集客・交流イベントを支援します。
その他の施策としては、
緊急に執行を要する事業として、防災対策のための震度計の追加設置、地域での社会貢献活動を促進させる「地域ポイントシステム連携プロジェクト事業」、地域間の交流を促進させる「地図情報連携プロジェクト事業」について、全額国庫を活用して実施します。
以上、補正予算の主なものについて説明しましたが、その規模は、一般会計で303億6,900百万円余の増額となります。これらの財源としては、国庫支出金、県債、特別交付税、前年度繰越金等を充当することとしましたので、災害復旧事業債以外の公共事業債を除き、殆んど、後年度への負担は生じません。
平成20年度は、一般会計で、歳入2兆251億1,100万円余、歳出2兆181億5,200万円余、特別会計で、歳入1兆3,442億5,700万円余、歳出1兆3,381億9,400万円余、公営企業会計で、歳入1,728億3,800万円余、歳出1,933億200万円余となりました。
平成20年度当初予算は、新行財政構造改革推進方策(新行革プラン)を具体化する最初の予算として、定員・給与や事務事業の見直し、投資事業費の抑制など行財政全般の改革に取り組み、歳出総額が前年度比5.4%減の過去最大の減少率となりました。また、厳しい経済・雇用情勢に的確に対応するため、4次にわたる経済・雇用対策を実施し機動的かつ迅速な施策を展開するなか、対策の実施にあたっては、国の財源措置を最大限活用し、財政に影響を及ぼさないことを基本としました。
この結果、一般会計決算は、昭和52年度以降32年連続で実質収支の黒字を確保するとともに、実質単年度収支は、平成12年度以来、8年ぶりに黒字となりました。
また、健全化判断比率については、実質公債費比率19.9%、将来負担比率360.1%となり、いずれも、19年度決算より改善しました。
この決算については、先に監査委員の審査に付していましたが、このたび審査意見書の提出がありましたので、今回認定を求めるものです。
予算案件は、平成21年度兵庫県一般会計補正予算 等2件
決算案件は、平成20年度兵庫県一般会計歳入歳出決算の認定 等21件
条例案件は、「阪神・淡路大震災記念人と防災未来センターの設置及び管理に関する条例」の一部を改正する条例等5件
事件決議案件は、県が行う建設事業についての市町負担額の決定 等9件
専決処分承認案件は、兵庫県旅券事務所が交付した生年月日誤記入旅券に係る和解及び損害賠償の額を定めることについて承認を求めるものです。
以上で、提出議案の説明を終わります。
議員の皆様におかれましては、よろしくご審議のうえ、適切なご議決をいただきますようお願いします。
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