第283回兵庫県議会 知事提案説明(平成17年6月3日)
本日、第283回兵庫県議会の開会にあたり、議員の皆様のご健勝を心からお喜びし、日頃のご精励に感謝します。
提出議案の説明に先立ち、若干のご報告をします。
第1は、安全・安心の確保です
先の大震災から10年、安全・安心な社会づくりを改めて決意していた最中、大変不幸な事故が起きてしまいました。JR福知山線列車事故です。
事故で亡くなられた方々に、ご冥福をお祈りするとともに、負傷された方々が、1日も早くお元気になられることをお祈りしています。
事故発生の報を受け、直ちに対策支援本部を立ち上げるとともに、現地にも赴き、救出・救助活動を第一に、その後、被災者の心のケアなどに、鋭意取り組んできました。JR西日本及び国に対しては、ご遺族や被害者への支援、事故原因の究明、再発防止に向けた安全確保対策の徹底、そして1日も早い復旧について、申し入れました。
既に、事故発生から1ヶ月が経過しました。通勤・通学など県民生活への影響や沿線地域の商店街での売上げ減少など厳しさを増しつつあります。金融対策や相談を行っていますが、重ねて、JR西日本及び国に対して、安全の確保を図りつつ、早期に運行を再開するよう要望しています。
また、今後の危機管理への対応に万全を期するため、救出・救助活動や災害医療活動など各分野で行われる検証を踏まえ、県としても総括的な検証を行います。
過日、三木市内のため池で発生した転落事故では、児童一人が亡くなられ、一人が重体となっておられます。ご冥福とご回復をお祈りします。工事中のこととはいえ、安全への配慮を欠いたことについて、心からお詫び申し上げます。
緊急に、工事中のため池などの総点検を実施し、周辺住民への危険箇所の周知や防護柵を設置するとともに、市町等にも同様の安全対策を指導するなど、二度とこのような事故が起こらないように安全確保を図りました。
昨年の一連の風水害による被災地では、梅雨などの出水期を間近に控え、堆積土砂の除去や被災した河川堤防などの応急工事を終えるとともに、甚大な被害を受けた但馬・淡路地域では、今年の稲作に間に合うよう、農地の復旧も進めています。
引き続き、河川やため池などの本格的な改修事業に鋭意取り組み、災害に強い基盤づくりを進めていくとともに、携帯電話を活用して防災情報を提供するひょうご防災ネットの運用を開始するなど、減災対策に向け取り組みます。
第2は、震災復興の推進です
震災の残された課題に対しては、復興フォローアップ委員会を設置して取り組んでまいります。あわせて、復旧・復興に際して、全国から寄せられた義援金やボランティアなど多くの支援に対し、感謝のキャラバン隊を、全国に派遣するなど、改めての感謝と、被災地の復興した姿を報告することとしました。
今後とも、震災からの復興を積極的に発信していきます。
また、兵庫県住宅再建共済制度については、この3月末には、財団法人住宅再建共済基金を設立し、9月からの受付開始に向けて、鋭意、準備を進めています。
初年度の加入目標率15%に向け、県民の皆様に、制度内容の周知を図り、制度的備えとしての共済制度への理解を深めてまいります。
かねてから本県が提唱してきた国際的な災害予防・復興の拠点として国際防災復興協力機構(IRP)が、過日、人と防災未来センターに開設されました。
被災国を支援する国際的な支援体制の構築をはじめ、世界的な減災対策の推進など、今後の活動に大いに期待する一方、阪神・淡路大震災の経験や教訓、創造的復興の諸施策を通じて得た成果等を活かしながら、機構の活動を支援していきます。
昨年12月末にインド洋で発生した津波は、タイやインドネシアをはじめ多くの国々に未曾有の被害をもたらしました。
本県としては、被災地の復旧対策について調査団などを派遣し、助言していますが、このたび、タイ王国から、復興対策について、阪神・淡路大震災の経験と教訓を踏まえて助言してほしいとの要請を受けましたので、今後、適切に対応していきます。
第3は、経済・雇用対策の推進です
本県経済は、輸出や設備投資が堅調に推移するとともに、有効求人倍率が改善するなど、全体として回復を続けています。
今後は、「ひょうご経済・雇用再生加速プログラム」をもとに、「元気産業・活力就業・自立兵庫」の創造をめざし、兵庫ものづくり支援センターを中心として、企業や研究機関などの技術を結集し、県内産業のものづくり技術の向上を図っていきます。さらに、原子レベルの構造をより鮮明に見ることができる次世代放射光の研究や県が持つビームラインを活用して、放射光の産業利用を促進するなど、本県産業の特性を伸ばしてまいります。
また、太子町に、かねてから誘致を働きかけてきた表面電解ディスプレイ(SED)工場の立地が決まりました。薄型大型テレビの需要が高まるなか、裾野の広い業種だけに、県内産業への波及や雇用にも大きな期待を寄せています。今後とも、県内産業の再構築に向け、企業誘致を積極的に進めます。
第4は、芸術文化・スポーツの振興です
芸術の館とともに、芸術文化の拠点として整備を進めてきました芸術文化センターと兵庫陶芸美術館が、この10月、相次いで開館します。
芸術文化センターは、単なる貸館ではなく、県民の皆様とともに、自ら芸術文化を創造・発信する拠点となることをめざします。今、記念公演の準備を進めています。世界各地から選ばれたメンバーで構成される芸術文化センター管弦楽団は、「世界一フレッシュでインターナショナルなオーケストラ」をめざし、デビューコンサートの準備を進めています。
また、兵庫陶芸美術館は、陶芸文化の発信・交流の拠点として、丹波焼名品展など、多彩な開館記念イベントを展開するとともに、「陶の郷」や窯元などと連携・協力し、地域全体を一つの博物館とした魅力ある地域づくりにも取り組みます。
のじぎく兵庫国体・のじぎく兵庫大会の開催まで残すところ484日となり、各地でリハーサル大会が展開されています。
今後は、イベントや街頭におけるキャンペーン、ボランティアの募集などを通じて、一層のPRに努めるとともに、兵庫らしい開・閉会式典の演出や円滑な競技会運営の準備を進め、感謝、県民総参加、新しい国体の開催をめざします。
第5は、環境対策の推進です
温室効果ガスの排出量を削減する京都議定書の発効を契機として、地球温暖化やヒートアイランド現象などを防止し、地域環境を守る取り組みを強化することが求められています。
このため、温室効果ガス排出量を基準年(1990年)の水準から6%削減する目標に向け、県民・事業者・行政が取り組む行動指針の改定を進めます。
あわせて、省エネルギーの推進、緑の保全及びライフスタイルの改善などヒートアイランド対策を総合的に推進するとともに、太陽光発電の導入など環境創生の取り組みに充てる公共工事の割合を、5%から15%に引き上げます。
また、関西が一丸となって取り組んできました夏のエコ・スタイルキャンペーンについては、その成果もあり、本年度は、国においても取り組まれることとなりました。今後とも、先導的に取り組んでいきます。
なお、姫路市内における国道312号の渋滞緩和と環境改善を図り、より一層の利用促進に向け、この7月から、播但連絡道路の基本料金を試行的に引き下げることとします。
第6は、国際交流の推進です
本県と中国との交流活動については、広東省や海南省との交流事業、上海・長江プロジェクト、ひょうご県民交流の船など様々な分野で展開していますが、今後は、地域と地域、人と人との交流による相互理解がますます必要となってきます。
このため、大阪・京都・兵庫の3府県が一体となって、観光交流を推進するなど、友好関係を一層強化する取り組みを進めます。
また、2008年に日本で開催される主要国首脳会議につきましては、関西での開催をめざし、先般、政府に要請を行うなど、経済界とも一体となって誘致活動を展開していきます。
第7は、地方自治の推進です
この4月には、豊岡市、朝来市、淡路市、宍粟市と香美町が発足し、28市32町になるとともに、さらに5市24町が合併を予定しており、来年4月には29市12町となる見込みです。
県としては、引き続き合併に必要な支援を行う一方、合併の効果・影響等を踏まえ、県と市町のあり方、地域の個性や住民の意見を反映したまちづくり等について、検討していきます。
三位一体改革については、昨年11月の政府・与党合意に基づき、平成18年度までの大枠が定められたものの、義務教育費国庫負担金や学校・福祉施設などの施設整備にかかる補助負担金の取り扱いなど、重要課題が先送りされています。
このため、引き続き、国と地方の協議の場において十分な検討を行う一方、「改革と展望の期間」が終了する平成19年度以降の第2期改革への取り組みも進めなければなりません。
今後とも、地方分権推進自治体代表者会議や全国知事会とともに、地方の自由度を高める三位一体改革となるよう、国に働きかけていきます。
最後に、平成16年度の決算見込みです。
過日、出納を閉鎖し、現在、集計整理している段階であり、未だその詳細がつまびらかではありませんが、県税収入の決算見込額が、現計予算額を上回るなど、一般会計の実質収支は昨年度を若干上回る黒字を確保できる見込みです。
これより、提出議案の概要について、ご説明します
まず、条例案件は、恩給法が一部改正されたことに伴い、恩給条例の一部を改正する条例制定の件等6件です。
次に、事件決議案件は、市町の廃置分合の件等17件です。
最後に、専決処分承認案件は、地方譲与税及び地方交付税等の額が確定したこと等に伴う平成16年度の一般会計補正予算について承認を求めるもの等2件です。
以上で、提出議案の説明を終わります。
議員の皆様におかれましては、よろしくご審議のうえ、適切なご議決をいただきますようお願いします。