更新日:2005年2月23日

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第282回兵庫県議会 知事提案説明(平成17年2月23日)

時代認識と県政理念

第282回兵庫県議会の開会にあたり、議員の皆様のご健勝を心からお喜びし、日頃のご精励に敬意を表します。
ここに平成17年度の予算を提案するにあたり、県政に取り組む基本的な考え方をご説明します。
 
阪神・淡路大震災から10年が経過しました。
あの痛みや悲しみにも負けず、創造的復興をめざし、被災者の方々をはじめ地域一体となった取り組みが、内外の多くの皆様の支援のもと、確かな歩みを続けてきました。
そして10年、この1月17日、県公館と人と防災未来センターにおいて、天皇皇后両陛下のご臨席のもと、ご遺族、政府代表をはじめ、ご来賓、多数の皆様ともども、10周年の集いを行いました。ここでは、追悼と感謝、明日への希望を託す被災各市町からの灯りが一つとなって式典会場に灯され、人々に感動と明日への力を与えてくれました。また、多くの県民の参加を得て「メモリアルウォーク」も行われました。
天皇陛下からは、この10年間の県民の努力へのねぎらい、震災の悲惨さを忘れず安全性の高い社会の構築を願うとのお言葉をいただきました。今を生きる私たちは、「1.17」を忘れることなく、安全・安心な兵庫づくりに全力をあげることを誓い合いました。
この10年という節目にあたり、今日までを振り返りつつ、あの阪神・淡路大震災の意味を確認することこそ、次なる取り組みへの出発点だと考えます。

その一は、災害文化です

自然災害を避けることはできませんが、ハードのみならずソフト面の対策を強化して、被害を最小限に抑え、その拡大を防止する「減災」が大切です。そのためには、効率や便利さだけではなく、安全や安心を第一義に、その基盤や仕組みづくりなどの総合的な防災対策に取り組むとともに、さらには、私たちの生活スタイルや社会システムのあり方を変えていくことが必要です。社会全体として挑む、いわば“災害文化”として考える必要があることを認識させられました。

その二は、高齢社会における課題への対応です

高齢社会下の大都市直下型地震であるだけに、被災高齢者の生活再建や住まい復興などの課題に対して、生活援助員等の見守りや地域による包み込み、シルバーやコレクティブハウジングなど、新たな取り組みが生まれ、高齢社会に対する取り組みのモデルとなりました。

その三は、21世紀成熟社会の基本方向を先取りしたことです

被災者同士の助け合い、被災地内外の人々の励まし、そして若者をはじめとしたボランティア活動の広がりは、社会の基本原理が人と人の支え合いや結びつきにあることを明らかにするとともに、官対民ではなく、官民協働の中で、みんなが地域社会に主体的に参画していくという“新しい公”の考え方を生み出しました。
震災後10年にわたる、これまでの創造的復興への積み重ねの上に、今こそ、あらゆる活動の基盤をなす安全で安心な地域づくりをめざして、今後の飛躍のための新たな歩みのスタートを切らなければなりません。あわせて、国内はもとより国際的な防災対策に貢献していくことも、大震災を経験した兵庫ならではの責務であると考えます。
新しい世紀に入り5年目、世界では今、激動と混乱の中で、新しい国際秩序の構築に向けて懸命の取り組みが進んでいます。しかも、大津波の惨禍に見舞われたインド洋沿岸諸国の復興支援や地球温暖化防止のための世界的取り組みなど、21世紀の人類社会の共通の課題への協力が問われています。
折しも、わが国では戦後60年、成長から成熟への転換期にあります。
戦後の復興から高度の経済成長期を経て、欧米先進国に追いつき、追い越し、世界有数の経済大国として、かつてない物質的な豊かさも享受するに至りました。
しかしながら、私たちは、この間に忘れてしまったこと、見失ってしまったこと、気がつきながらあえて目を向けなかったことに、今こそ思いを致すべきです。民主主義の大切さが強調されるあまり、権利や要求ばかりが先行し、社会に生きる人としての義務や責任感の大切さ、人としての思いやりや優しさ、目に見えないものへの畏敬など、私たちの持つ良さやアイデンティティともいえるものが失われ、家庭や地域のあり方が問われているのではないでしょうか。
このような時だからこそ、私は、21世紀は、20世紀の効率や画一、標準ではなく、選択や多様、個性を基本理念として、戦後の社会が築き上げてきた物質的豊かさの上に、一人ひとりが自律的な個として自分らしさを確立することを基本に、自然との調和、他者との共生の中で生活の質的向上をめざす社会づくりを進めていかなければならないと考えます。
新世紀の幕開けとともに知事に就任して以来3年余、一貫して、県民本位、生活者や消費者の視点、そして、参画と協働を基本姿勢に、県民主役と地域主導による「21世紀兵庫長期ビジョン」のもと、県民だれもがいきいきと、県内各地域がきらきらと輝く、ふるさと兵庫づくりをめざして、県政諸施策の展開に努めてきました。
今後とも、多様と個性はもとより選択と集中、分権と分散を旨に、県民生活の質的な充実と元気兵庫の創造に向けて、参画と協働を基本とする新しい地域づくりに取り組んでいきます。
さて、今秋にはいよいよ、コウノトリの自然復帰への取り組みが始まります。人と生き物が共に暮らしたかつての心豊かな人里を取り戻そうとする、世界に例を見ない試みにかけた地域の夢が、その実現へ向け大きく前進するのです。
私は、県鳥コウノトリが再び大空を舞う人と自然の調和した兵庫づくりは、成熟社会の地域づくりのモデルになりうるという気概を持って、21世紀の新しい兵庫、“美しい兵庫”の実現をめざしていかなければならないと決意を新たにしています。

新年度の基調

このような基本的な考えに基づき、新年度は、兵庫新時代への飛躍に向け、次の三つを基調として意欲的な県政推進を図ります。

その第一は、「ひょうごの安全と安心」の創造です

昨年、兵庫を襲った記録的な風水害は、私たちの日々の暮らしを支える県土と生活の基盤がいかに脆弱であったかを改めて認識させました。
また、復興10年を過ぎました、これを一つの区切りに、1月17日を「ひょうご安全の日」として、あの大震災を忘れないことが大切です。公助に加え、共助としての本県独自の住宅再建共済制度の創設をめざします。東南海・南海地震等に備える防災対策の強化が必要です。さらに、防犯、食の安全、保健医療や福祉対策などを拡充して、県民生活の基盤を充実します。

第二は、「ひょうごの元気」の創出です

いつの時代にあっても、「元気」こそが新しい未来を拓いていく原動力です。
子育て家庭の応援や地域教育の充実等による「人の元気」、経済・雇用の再生加速やコミュニティづくり等による「地域の元気」、そしてボランタリー活動の展開や快適空間の創造等による「社会の元気」を創出し、ふるさと兵庫の全土に広げていきます。

第三は、「ひょうごの分権改革」の推進です

地方の自己決定と自己責任の原則を確立していくためには、地方が自らの権限と責任、そして財源を持つ分配・自立型の統治システムが不可欠です。三位一体改革は、本来、地方の自由度を高める分権改革にほかなりません。このため、今後とも、県自治体代表者会議はもとより、全国知事会をはじめ近畿ブロックや近隣各府県とも連携を図り、国の動きを注視しながら、成熟社会への突破口として全力をあげます。
一方、市町合併については、厳しい環境の中で、今後のあるべき地域づくりをめざす行政の仕組みとして、新しい市町の枠組みが不可欠です。県としても、これらの市町が地方分権社会にふさわしい行政運営を図るよう、県民に身近な県民局の現地解決・調整機能をより高めつつ、それぞれの個性と独自性が発揮される地域づくりに向けて積極的に協力していきます。

新年度の重点施策

これより、新年度の重点施策についてご説明します。

その第一は、「安全と安心の確保」です

阪神・淡路大震災から10年を経過しました。これからも引き続き復興をフォローアップしていかなければなりません。
何ができて、何ができなかったのか総括検証・提言を踏まえ、被災高齢者の自立支援、まちのにぎわいづくり、「1月17日は忘れない」の3推進プログラムを策定し、計画的な施策展開を図ります。
被災高齢者の自立支援では、生活援助員(LSA)や高齢世帯生活援助員(SCS)による生活支援をはじめ、地域ぐるみの支援のための調整などを引き続き拡充して実施します。
まちのにぎわいづくりのため、再開発ビルの商業施設等への入居や区画整理事業地区内空地の利用促進をはじめ、商店街、小売市場の復興アピールやにぎわい創出イベントの支援、花・緑いっぱい推進運動などを展開します。
1月17日は忘れない、この日を、震災を風化させることなく、県民参画による安全・安心な社会づくりをめざす日と定め、被災地ウォークやつどい、県下各地域での防災訓練、防災交流ネットワーク会議などを行います。また、防災教育では、小・中・高校における取り組みのほか、顕彰制度も創設します。
私たちがこの10年の復旧復興で学んだことの一つは、生活の再建は住宅の再建にあることではなかったでしょうか。すでに公助として制度化された国の居住安定支援制度については、住宅本体への支援を働きかけるとともに、県単独の補完事業を実施しています。しかし、住宅再建のためには、この公助に加え、事前に住宅所有者が相互扶助の精神により災害に備える共助の制度が不可欠です。このたび、県独自の共済制度として、年額5000円の共済負担金で、自然災害による住宅被害に対して、再建・購入の場合で最高600万円、補修等にも一定の給付を行う新しい制度を、この9月にもスタートさせることとしました。多くの県民の皆さんに加入していただくよう働きかけるとともに、全国制度化をめざします。
また、被害の状況を迅速、的確に調査するため、市町職員を対象に「家屋被害認定士」の育成を進めます。
なお、これまでの阪神・淡路大震災復興本部体制を解消して、今後残された課題である生活や住宅の再建等については、まちづくりをはじめ関係各部局において必要な施策、事業を推進することとしました。
将来の東南海・南海地震への備えとして、まず津波対策では、浸水予測図の作成や防潮扉等の閉鎖・避難訓練等を実施するとともに、防潮堤の耐震調査や潮位計の整備、危険を知らせる広報板の設置も進めます。次に、長周期の地震動による超高層ビル等への被害が考えられることから、震動破壊実験施設E-ディフェンスと一体となった減災対策も検討します。
災害時には、高齢者、障害者を含め、すべての住民に対し確実に情報を伝えることこそ基本です。このため、地上デジタル放送を活用した防災情報提供等の実証実験に取り組むとともに、避難情報等を携帯電話のメールで伝達するシステムを導入します。
広域防災拠点については、三木総合防災公園を県域の中核拠点として本年8月に運用開始するとともに、淡路地域の拠点整備に着手します。あわせて、県立広域防災センターに救急救命士養成所を開設し、救急救命体制の充実を図ります。
建物の耐震化では、県立学校等の改修工事を引き続き計画的に推進するほか、自家用発電機を設置するなど災害に強い庁舎づくりを進めます。民間住宅の耐震化を推進するため、簡易な耐震診断の実施とともに、低価格でできる簡便な改修については事前の診断なしに工事が行えるようにします。
さて、「国連防災世界会議」では、「兵庫宣言」「兵庫行動枠組」が定められました。今後の世界の防災活動の指針として、早期警報システムの構築やコミュニティの防災体制の強化、防災教育の充実などに取り組むこと、防災対策を国際社会に共通した課題と位置づけ、各国が協力して減災対策にあたることが表明されました。あわせて本県が提唱していた「国際防災復興協力センター」が神戸に設置されることとなりましたので、被災地として積極的に協力していきます。
国民保護計画については、県民の生命、身体や財産の保護を第一義に関係機関との調整を進めながら作成していきます。
次に、台風第23号をはじめとした風水害からの復旧復興と総合的な防災対策の推進です。
昨年立て続けに起きた風水害に対しては、関係市町と緊密な連携を取りながら、緊急・応急対策を取るとともに、本年1月には本庁及び県民局の体制を整え、地域のめざすべき姿に沿った復旧復興事業計画を策定しました。農林水産関係施設や公共土木施設の復旧復興事業費を総額で2600億円余と見込み、農林水産と土木工事等を連携させながら、その内容やスケジュールを分かりやすく提示して重点的に取り組みます。
あわせて、被災農地と周辺農地の一体的整備や、被災ため池の改修工事の受託、風倒木の処理を急ぎます。
また、災害情報を的確に伝えるため、河川の浸水予測エリアをインターネットで分かりやすく表示する「CGハザードマップ」や、河川の水位を予測する洪水危険情報通報システムを構築して、的確な避難や水防活動につなげます。
このたびの一連の災害で、私たちは、森林整備の重要性や緊急性を改めて認識しました。県民の共有財産ともいえる緑の保全に県民総参加で取り組むため、森林管理100%作戦や里山林の再生など「新ひょうごの森づくり」を引き続き推進し、新たにCSR事業の一環としてミニ里山公園等の整備を進めるほか、「県民緑税」の導入を図り、災害に強い森づくりや人と野生動物が共生できる森づくり、さらには、まちなみ緑化等を進めていきます。
次は、くらしの安全・安心対策です。
地域住民の自主的な「まちづくり防犯グループ」の活動に期待するとともに、パトロールなどの防犯活動の展開を支援するほか、安全・安心条例の制定を検討します。
警察官を増員するとともに、交番機能の強化を図るため、交番相談員の増員やテレビ電話のモデル導入を進めます。また、携帯電話を利用した防犯情報の配信システムを構築します。
交通安全については、「ストップ・ザ・交通事故」県民運動の展開等を通じて、事故総量の削減に一定の成果を上げており、総合的な対策を引き続き推進します。
消費生活の相談窓口を拡充するとともに、県下各地の「くらしのクリエーター」等を通じて、悪質商法に関する情報提供等を行い、消費者被害の未然防止に努めます。
食の安全・安心推進会議を設置して、消費者・事業者・行政等の情報共有と相互の意思疎通を図るリスクコミュニケーションを進め、公募モニターや県民フォーラムでの意見も参考にしながら、指針づくりと行動計画の策定に取り組みます。
また、県版HACCP認定制度への鶏卵の追加、ひょうご食品認証制度の普及啓発や認証食品の拡大など、生産の履歴管理等が確かな県産食品の流通に努めます。
次に、“健康ひょうご”の推進についてです。
県民だれもが健康を自ら守り創り育てていけるよう、健康相談の充実と健診受診率の向上を図りつつ、「県民健康プラン」として、一人ひとりの心身の状況に応じて健康増進プログラム等を提供し、その実践支援や効果測定、事後の指導等を一体的に行うこととしました。
あわせて、市町の介護予防事業を支援するとともに、まちの保健室の拡充や乳がんの検診体制の強化等も図ります。
ひょうご“食の健康”運動を展開する中で、学校給食における地域農産物の導入やごはん給食の推進など、食育を進めます。
医療対策では、県保健医療計画の改定をはじめ、エイズやアレルギー対策の拡充、へき地勤務医師の養成等を進めます。
小児救急医療を充実するため、こども病院において集中治療室を備えた救急医療センターの整備を進め、あわせて阪神北圏域における広域的な小児1次救急に向けた調査検討を行うとともに、北播磨で地域相談体制を構築するほか、小児科医師の確保にも努めます。また、不妊治療費にかかる経済的負担の軽減を図ります。
県立病院では、東播磨・北播磨圏域の3次救急、緩和ケア等の新たな政策医療を担う「新加古川病院」(仮称)の整備を進めます。
平成18年度の介護保険制度の改正も見すえながら、老人保健福祉計画を改定して、各サービスの目標量等を定めるとともに、利用者が円滑に事業者を選択できるよう情報開示の標準化を進めるほか、介護支援専門員等への研修も行います。
障害者の自立支援では、施設から在宅へのニーズの変化等に対応するため、ホームヘルプサービスをはじめ居宅サービスの充実やグループホーム等の開設支援による自立生活の促進に努めます。また、障害のある中高生が下校後に社会適応訓練等の活動を行う場を確保し、保護者の就業支援や負担の軽減を図ることとしました。
西播磨における総合リハビリテーションセンターブランチの整備を進めるほか、精神障害者の社会復帰施設の整備や精神保健診察判定会の設置を行うとともに、「聴覚障害者情報センター」を本年4月、神戸市内に開設します。また、障害者芸術・文化祭を阪神南地域で開催します。
学習障害や注意欠陥・多動性障害等の発達障害者については、早期に発見して支援するためのあり方を検討する一方、乳幼児健診マニュアルの改訂や健診従事者の研修を実施するほか、学習障害の相談・支援事業を実施し、自閉症・発達障害支援センターブランチも新設します。
福祉医療制度については、本年7月から、一部負担を見直すとともに重度精神障害者に対する医療費助成を新たに創設することとし、これらの実施にあたっては、低所得者に配慮しつつ、失業者、長期入院者等への対策を講じるなど、持続的で安定した運用をめざします。
配偶者に対する家庭内暴力の対策では、県基本計画を県民、関係団体の意見を聞きながら策定するとともに、こども家庭センターへの相談員の配置や外国人被害者のための通訳の確保、市町の相談支援センター設置促進など、相談体制の充実を図ります。さらに、女性家庭センターの一時保護所の増設、被害者の一時入居住宅の確保等も進めます。
高齢者虐待対策では、専門相談窓口の設置や市町の在宅介護支援センター職員等への専門研修を行うとともに、関係機関間のネットワーク強化のためのモデル事業を実施します。
そのほか、無年金外国籍の高齢者・障害者に対する福祉給付金の拡充や、県立の特別養護老人ホームの県社会福祉事業団への移譲、老人クラブへの若手会員の加入促進も進めます。

重点施策の第二は、「未来への期待」です

今後とも、多様な教育を推進することが大切です。
小学生の自然学校や中学生の社会体験教育、トライやる・ウィークに加えて、新たに全県立高校のプログラムとして、高校1年生には、クラス単位等で、高齢者への食事サービスや地元商店街の活性化など地域での貢献活動を行う「トライワーク」、高校2年生には、将来の人生を考える就業体験「インターンシップ推進プラン」を取り入れるとともに、高校生の姉妹州省での交流体験活動を支援します。
このほか、地域でともに育む教育では、地域の方々や先輩が参加するいきいき学校応援事業とともに、「ふるさと文化いきいき教室」を実施して、郷土の歴史や伝統への理解を深めます。
また、地域教育推進委員と住民が協働して取り組む、登下校時における児童生徒への声かけ運動等を支援するほか、PTCA活動やオープンスクールも進めます。
児童生徒の基礎学力を培い、個性や能力を伸ばしていくため、小学校3年生以上では少人数学習集団を編成し、小学校1、2年生の複数担任制とともに、小学校1年生では、研究指定校により35人学級編制を実施します。さらに、指導方法の実践研究や読書タイムの全校実施などを行う「ひょうご学力向上推進プロジェクト」を展開し、公立の全小・中学校を対象に基礎学力調査も行います。
また、障害児教育の充実を図るため、学校と関係機関の連絡調整等を担う「特別支援教育コーディネーター」の養成を進めるほか、本年4月には、播磨科学公園都市に「西はりま養護学校」を開校します。
一方、学校生活における児童生徒の問題行動などに適切に対応するため、小学校に「生徒指導推進協力員」、中学校に「自立支援活動補助員」を配置するとともに、「命の大切さ」を学ぶ教育プログラムの策定や、スクールカウンセラーの全公立中学校への配置なども進めます。
昨年4月開学の兵庫県立大学では、産学連携による新規起業を支援する共同実験棟を整備するとともに、会計専門職大学院の設置に向けた整備を進め、知的財産の管理と地域社会への還元のために専門マネージャーを配置するほか、県立大学附属中高一貫教育校の設置を進めます。
次に、子ども・家庭対策の充実です。
現在策定中の「少子・高齢社会ビジョン」(仮称)及び新「“すこやかひょうご”子ども未来プラン」に基づき、家庭や地域の再生を図り、安心して子どもを生み育てることができる社会づくりをめざします。
子育てをめぐる最近の様々な事件を目の当たりにするとき、地域の方々や団体等が一体となって親子を温かく見守る「子育て家庭応援」地域協働プログラムとして、早期に全小学校区で地域子育てネットワークが立ち上がるよう積極的な支援を行っていきます。親子のシグナルやSOSを的確に専門機関につないでいけるよう、新たに各市町単位の推進母体への支援も行います。「まちの子育てひろば」「子どもの冒険ひろば」「若者ゆうゆう広場」を引き続き展開します。
深刻化する児童虐待に対して、法改正により児童相談業務を行うことが明確に位置づけられた市町を支援するとともに、24時間ホットライン等による体制の拡充や関係機関との連携に努めます。
そのほか、こどもの館による子育て、親育てに関する講座を県下各地で実施するとともに、里親制度の普及啓発のためのシンポジウムの開催や子育てグループが企画する自主的な学習会への講師派遣、待機児童の解消に向けた保育所の設置・定員の弾力化にも取り組みます。
小学校低学年でのいじめや学級崩壊など、いわゆる「小1プロブレム」に対応するため、幼稚園や保育所に通っていない4、5歳児を対象に、幼児教育や体験保育を実施する私立・民間施設の取り組みを支援します。
こうした取り組みにあわせて、家庭力再生のための懇話会を設置し、家族や家庭が変容する中での新しいあり方等を検討します。
続いて、芸術文化・スポーツの振興です。
いよいよ、本年10月に「芸術文化センター」と「兵庫陶芸美術館」が開館します。
「芸術文化センター」は、開館後3年を記念期間と位置づけ、今秋以降、芸術顧問や芸術監督のプロデュース公演をはじめ、多彩な開館事業を連続的に展開します。世界一フレッシュでインターナショナルな交響楽団をめざす付属の「ひょうごオーケストラ」(仮称)を開館と同時に発足させ、兵庫らしいユニークな活動を展開します。
「兵庫陶芸美術館」では、丹波焼名品展等の開館特別展をはじめ多彩な記念事業を実施するとともに、丹波焼の窯元等地域との連携を強め、地域一帯を陶芸文化の里として様々な交流を深めます。
また、芸術文化立県の実現をめざして、芸術文化振興ビジョンを推進し、県内各地で繰り広げられる多彩な芸術文化活動を支援していきます。
県立美術館では、震災復興10年にあたり、ドレスデン国立美術館展等の記念展覧会を開催するほか、歴史博物館では、「源氏・平氏・奥州藤原氏の至宝展」の開催をはじめ、地域団体との地域史共同研究に取り組み、リニューアルに向けた設計等も進めます。
このほか、「県立考古博物館」(仮称)の建設に着手し、隣接する大中遺跡で先行展を開催します。
平成18年秋の「のじぎく兵庫国体」に向け、マスコット「はばタン」やはばタンレディによるPR、ボランティアの募集、リハーサル大会の実施等を通じてムードを盛り上げていくとともに、兵庫らしい開・閉会式典の演出や円滑な競技会運営の準備を進めます。
また、国体に続く「のじぎく兵庫大会」については、ボランティア参加型の障害者スポーツ大会をめざします。また、総合リハビリテーションセンター新体育館の整備を急ぎ、同センターブランチの「ふれあいスポーツ交流館」を供用開始するなど、障害者スポーツの振興にも力を注ぎます。
次に、科学技術の振興です。
SPring-8の新しい県ビームラインを今秋から運用開始するほか、県立大学のニュースバル活用方策を検討するとともに、利用しやすい仕組みをつくり、産業利用の促進に努めます。
また、独創的研究を促進する県COEプログラムなど、研究の立ち上がりから事業化に至る各段階を支援する「ひょうご21世紀産業創造戦略」を充実するほか、大学と連携した新産業の創出や県内企業の技術の高度化を図ります。
IT新戦略では、平成17年度末までに全市町でブロードバンドサービスが受けられるようにするとともに、携帯電話利用エリアの拡大、県・市町共同の電子申請運営システムの開発、ひょうごe-スクール構想の推進などのほか、次期兵庫情報ハイウェイの整備方策を検討します。
また、「ひょうごe-フェスティバル」を開催して、県内IT企業と地域企業等の出会いの場を設けるとともに、知的コンテンツ関連企業にオフィススペースを提供するなど、産業の情報化を推進します。
「情報セキュリティ先進県ひょうご」の実現に向け、本年4月、世界のトップレベルにある米国カーネギーメロン大学の情報大学院日本校が、神戸市内で開校します。高度な人材を育成していくため、県としても積極的な支援を行う一方、全県的な情報セキュリティ(安全管理)対策に取り組みます。

重点施策の第三は、「地域の元気と連帯」です

まず、経済・雇用の再生加速です。
厳しい経済状況下で展開してきた「ひょうご経済・雇用再活性化プログラム」は、目標の5万人を大幅に超えるしごと・雇用の創出など兵庫経済の回復に大きな役割を果たしてきましたが、今後は、本格的な再生に向けて、本年1月に策定した「ひょうご経済・雇用再生加速プログラム」に基づき、兵庫の強みや地域の特性、企業のやる気を生かし、内外との交流を進めながら事業を展開していきます。
明日を担う成長産業を育成するため、ナノテク、次世代ロボット、健康、環境・エネルギーの4分野を重点に、企業・大学・研究機関等が連携と競争を繰り広げながら新たな事業を生み出す「ひょうごクラスター」の形成に取り組むとともに、ものづくり産業が集積する神戸・阪神・播磨地域に「ものづくり支援センター」を設置し、先端機器を使いながら、研究・技術のコーディネーターが支援を行います。
あわせて、ものづくり人材育成の仕組みや、体験の拠点となる「ものづくりしごと館」の整備を検討するとともに、小・中・高校生等のものづくり体験やインターンシップの機会を充実させます。
中小企業の金融対策では、技術力や将来性の評価を金融機関に提供することを通じて円滑な資金供給を支援するほか、県と商工組合中央金庫、地域の金融機関が連携した新たな融資保証制度を創設し、第二創業や新産業創造等の資金ニーズに細やかに対応できる制度の充実とあわせて、融資目標額3000億円を確保しました。
また、中小企業支援ネットひょうごによる成長期待企業の発掘や育成に引き続き努めるとともに、次世代のファッション産業づくりをめざして、若手人材の発掘や誘引、地場産業のブランド戦略を支援します。
商店街の振興では、不足している業種の出店促進など空き店舗対策を拡充するとともに、後継者がいないため廃業を余儀なくされる商店の事業継承も支援することとしました。また、大学やNPO等と連携した活性化事業の支援や大型店舗の閉鎖への対策にも万全を期します。
このほか、県発注の公共工事で県内生産品を優先使用する「買 兵庫キャンペーン」を展開し、県内産業の振興に資することとします。
企業の立地促進については、産業集積条例を延長し、新たに設ける新産業創造拠点地区に進出する研究開発型企業の設備投資や研究室等の借り上げを支援するとともに、先端技術型産業の設備投資にかかる補助限度額の撤廃や投資基準額の引き下げなど、魅力ある立地環境を整えます。
また、内外企業の誘致や海外進出の支援等を一元的に行う「ひょうご・神戸投資サポートセンター」(仮称)を新設するほか、上海での見本市への出展をはじめ、国際経済交流を積極的に展開します。
なお、中小企業活性化センターについては、今後、内外の企業立地や販路開拓の支援など、中小企業支援の枠を超えた取り組みを進めることから、名称を「ひょうご産業活性化センター」に改めます。
雇用対策では、「若者しごと倶楽部」による若年者の就業支援とともに、50歳代の中高年者の再就職を支援するため、新たに「シニアしごと倶楽部」を創設し、マンツーマンの相談機能を強化するとともに、賃金ギャップの解消に向けたトライアル雇用をモデル実施します。県労使一体として進めてきた兵庫しごとカレッジシステムをさらに充実させながら、能力開発や職業紹介に取り組みます。
また、震災後生まれたコミュニティビジネスの育成支援やワークシェアリングの促進、シニア向け生きがいしごとサポートセンターの新設にも取り組みます。
次に、地域協働事業の推進です。
県民交流広場については、市町の意見や地域のニーズを踏まえながら、本年度、生活図書と学習、生活情報等の5つのタイプで取り組んでいますが、新年度においても、引き続きモデル事業を実施し、成果や課題を十分に検証して、本格的な展開を図っていく考えです。
県民ボランタリー活動の促進では、全県的な拠点であるボランタリープラザについて、関係機関や中間支援組織等とのネットワーク化を図るとともに、地域活動を支援する総合的な情報提供・検索システムの開発を進めるほか、ボランタリー基金による活動支援を拡充します。
また、各県民局の地域づくり活動サポーターをつなぎ役として活用しながら、地域団体等が取り組む意欲的な地域活動を応援します。
成熟社会にふさわしいライフスタイルづくりを支援するため、新たに東播磨生活創造センターの整備を進めるとともに、西播磨、但馬、淡路では、文化会館等における生活創造活動への支援を拡充するほか、阪神シニアカレッジ、嬉野台生涯教育センター等の活動を充実します。
県民の学習意欲の高まりに対応するため、神戸生活創造センターに「生涯学習情報プラザ」を開設し、情報提供や学習相談などの全県的な拠点として、関係機関等との連携も図ります。
続いて、ユニバーサル社会づくりです。
現在策定中の総合指針における5つのテーマ、「ひと」「もの」「情報」「まち」「参加」の目標と方向に沿って、県民や地域団体、NPO、企業と行政の協働による総合的な施策展開を図ります。
県自ら率先した取り組みを計画的に進めるため、県庁舎、県立施設への点字案内板や誘導ブロック、多機能トイレ等の設置を進め、手話や点字による情報提供をはじめ職員のサービス向上にも努めます。
また、障害のある方への声かけ運動を引き続き実施し、地域や職域での担い手の育成等ともあわせて意識啓発や気運の醸成を図るとともに、福祉機器等のユニバーサルデザイン製品の普及促進を図る顕彰を行います。
福祉のまちづくり条例に基づき、避難経路や休憩所の確保などの安全・快適面の基準等を強化するとともに、鉄道駅舎へのエレベーター設置やノンステップバスの導入も促進します。障害者等が自力でまちを移動できるよう、ITを活用した国の実証実験にも参画します。
障害者雇用では、無料職業紹介や事業者等へのジョブコーチの派遣など、障害者に対する就業面と生活面が一体となった支援を行うとともに、授産品の販路開拓やインターネットによる販売促進を引き続き推進します。在宅の重度障害者がITを活用して行う能力開発や在宅就労も応援するほか、障害者等が利用しやすい事業所への改修を支援することとしました。

重点施策の第四は、「新しいふるさとづくり」です

まず、人と自然との共生です。
豊かな環境を守り育てるためには、子どもたちが日頃の生活や学習を通じて、その大切さを身につけていかなければなりません。
そのため、森・川・海をフィールドとした「ひょうご環境学校」を創設して、いなみ野水辺の里公園等での体験事業をはじめ、県下各地での学習講座やNPO等が企画実施する事業への支援を行います。
環境学習の拠点として、自然エネルギーの活用法などの理解を深める播磨科学公園都市での「エコハウス」や、上山高原エコミュージアムの整備を進めるとともに、母と子の島の新たな利活用計画を策定します。
農を通じて自然や環境の大切さを学ぶ、ひょうご「学びの農」推進作戦を展開することとし、宿泊型の「こども自然体験ファーム」や、小学校の体験農園などで農作業や暮らしを実際に経験させるとともに、「里山学習体験の森」等を整備して森への理解や豊かな心を育みます。
さて、この秋、コウノトリの野生復帰が本格的にスタートします。あわせて、3月開幕の愛知万博に出展して、世界にも例を見ない人里でのプロジェクトの意義を内外にアピールする一方、コウノトリと共生できる自然環境づくりに向け、今後とも、豊岡市をはじめ地元農家やNPO等とともに、転作田のビオトープ化や営巣里山林の整備などに取り組みます。
また、瀬戸内海を、かつての豊穣の海に再生していくため、藻場や干潟の創出、微生物製剤による浄化、尼崎での運河等の水質改善などに取り組むとともに、水産資源の回復をめざした漁場整備も行うほか、こうした取り組みを総合的に推進するための新法の整備に向けて積極的に働きかけていきます。
野生動物対策では、シカやサルの農作物被害に対応して、防護柵の設置や捕獲等を進める一方、住民生活の安全確保のもと、ツキノワグマの絶滅防止策に取り組むなど適正な保護管理に努めるほか、人と野生動物の共生をテーマにした「森林・野生動物保護管理研究センター」(仮称)の整備に着手します。また、動物愛護センターの龍野支所を本年8月に開設します。
次に、快適な地域環境づくりです。
本年度末を期限とする生活排水99%大作戦については、処理率全国第3位と着実な成果を上げています。今後は、新たにコミュニティプラント施設の改修を支援するとともに、処理率の低い市町の取り組みを促します。
条例による阪神東南部地域でのディーゼル自動車等の運行規制については、カメラ等による監視を引き続き徹底し、適合車両への買い替えを支援するほか、国に対して自動車NOx・PM法による規制の不均衡是正を働きかけます。
廃棄物の不法投棄に対して、地域住民との合同パトロールやカメラの設置などにより、通報・監視体制を強化します。
資源リサイクルの促進では、容器包装リサイクル法に基づく分別収集促進計画の改定等に取り組むほか、食品リサイクルの県庁率先行動を各県民局にも広げます。
また、この2月16日から京都議定書が発効しました。地球ぐるみで温暖化防止対策を進めなくてはいけません。住民、事業者など各主体の行動指針等を示した推進計画の見直しを急ぐとともに、温室効果ガス排出抑制計画に基づく工場等の取り組みを促します。また、県自らも、環境率先行動計画・ステップ3に基づき、省エネルギー型設備への更新や太陽光発電、風力発電の導入を図るとともに、屋上・壁面緑化やグラスパーキングなどのヒートアイランド対策も進めます。
続いて、農林水産業の新たな展開です。
国の農政改革や食をめぐる消費者のニーズ等を踏まえながら、今後の施策展開への指針となる新たな「ひょうご農林水産ビジョン」の策定に取り組みます。
担い手の高齢化や遊休農地の増加など、農業集落の営農・環境維持機能の低下が懸念されるなか、意欲ある農業集落が行う活性化プランの策定から実践までを支援するとともに、担い手育成に総合的に取り組み、農業法人による新規就農者の雇用促進や、遊休農地の復元整備等の支援なども行います。
地産地消の推進のため、直売所の魅力化や野菜の産地づくり、食品産業と連携した新商品の開発を進めます。また、但馬牛の生産拡大やベニズワイガニの資源回復等に努めるほか、特産のたまねぎやノリなどを国際見本市に出展して、輸出の可能性も探ります。県産木材の利用促進のため、県産内装材を利用したリフォームに融資を行うこととしました。
農に親しむ「楽農生活」では、各地の市民農園の整備やリーダーの育成に取り組む一方、神戸市西区で「楽農生活センター」(仮称)の整備に着手するとともに、楽農学校事業では、生きがいや就農に加えて、新たにアグリビジネスコースを開設して、加工や販売知識の習得を支援します。
次に、県下各地域の個性ある地域づくりと交流です。
地域ビジョンが描く将来像の実現に向け、各県民局において、県民行動プログラムの主体的な展開と連携しながら、それぞれの地域経営戦略のもと、地域らしさに着目した重点的な取り組みを進めます。
まず、西宮御前浜の水環境再生実験や旧宝塚音楽学校の保存・活用、かつて生野鉱山と飾磨港を結んだ「銀の馬車道」の再発見、茶すり山古墳を中心とした南但馬歴史・文化ミュージアム構想など、歴史や文化、伝統を活かした地域づくりを進めます。また、地域ならではの資源を活用して、六甲山自然保護センターの充実、いなみ野ため池ミュージアム構想の推進、西播磨「水と緑の郷づくり」、日本最古のレンガづくりトンネルを活用した鐘ヶ坂公園の整備や、あわじ菜の花エコプロジェクトの展開のほか、地域整備の進展等を祝う北播磨交流の祭典も開催します。
花と緑の美しい県土づくりでは、「ふるさとの顔づくり」事業として、のじぎく兵庫国体等に向け、地域を美しく演出するオンリーワンの施策を県民局ごとに展開し、会場へのアクセス道路や主要交通結節点の緑化等を推進します。
「全国育樹祭」は、今秋、有馬富士公園等で開催します。
また、全県花いっぱい運動を引き続き推進し、都市のまちなみ緑化を促進するとともに、緑条例の全県適用に向けた取り組みを進めます。淡路景観園芸学校の成果を全国に発信する国際フォーラムを都内で開催するほか、園芸療法の普及に努めます。
まちなみや景観等の「快適空間」の創造をめざして、県民が協働して行う外構の緑化や都市と農村の交流拠点整備などを支援します。
また、公共施設の整備等に際して配慮すべき景観指針を策定するとともに、明舞団地において、調和ある植栽や屋根の色彩等のデザインを定めることを検討します。潮芦屋では、民間活力を生かしたウォーターフロントのまちづくりを、尼崎21世紀の森では、スポーツ健康増進施設の整備を急ぎつつ、沿道緑化や環境にやさしい交通システムの検討を進めます。
このほか、大規模集客施設と交通その他の都市機能との調和を図るため、工事着手前の交通協議等を条例により義務づけることとしました。
本県の地域再生や構造改革特区は、全国的にも件数が多くユニークな事業展開になっており、今後とも市町と一体となって積極的に取り組みます。
グリーンピア三木については、譲渡を受けるための利活用方策を検討するとともに、阪神野外CSR施設の整備や高砂みなとまちづくりの構想も進めます。
次は、県土の交流基盤の整備です。
「つくる」から「つかう」プログラムのもと、鉄道の利便性向上対策では、JR姫新線の高速化事業をはじめ、余部鉄橋の架け替えとあわせたJR山陰本線高速化の検討などに取り組むほか、阪神三宮駅や神戸高速鉄道の地下駅の改良等を支援します。
高速道路については、播但連絡道路において、料金引き下げの試行やETCゲートの設置等を行うとともに、阪神高速道路湾岸線等で、環境ロードプライシングの実効性の向上に引き続き努める一方、第二名神高速道路の整備促進や大阪湾岸道路西伸部の事業化に向けた都市計画決定手続きを進めます。また、香住道路の開通をはじめ鳥取豊岡宮津自動車道の整備を進めるとともに、北近畿豊岡自動車道では春日・氷上間が今春供用開始するほか、中国横断自動車道姫路鳥取線の新直轄事業による整備を促進します。
JR姫路駅付近では、山陽本線の高架切替工事を行うとともに、今後のまちづくりのあり方についても検討します。
神戸空港の開港を来年2月に控え、関西3空港時代の到来にふさわしい広域観光戦略の推進などを通じて、兵庫の魅力を発信していきます。
国際交流では、外国人児童への学校生活のサポートや留学生等による日本語・母国語教育の支援など、多文化共生社会に向けた取り組みを進めるほか、姉妹提携35年を迎えたブラジル・パラナ州へ代表団を派遣します。
観光・ツーリズムの振興では、広東省をはじめ中国からの観光客等の誘致に努めるとともに、都市農村交流、産業や環境などのツーリズムバスを拡充し、地域の祭りなどを活用した集客交流イベントを支援するほか、女性誌とタイアップして、NHK大河ドラマ「義経」や温泉の魅力などを首都圏向けにPRしていきます。

重点施策の第五は、「参画と協働の推進」です

「21世紀兵庫長期ビジョン」も、県民参画で策定を進めてから5年が経過し、現行の「地域ビジョン推進プログラム」と「全県ビジョン推進方策」も見直す時期を迎えます。
このため、昨年来の総点検・評価を進める中で、県民局ごとの地域夢会議に加えて、全県的にも若者をはじめ多世代が参加する「みんなの夢会議」を開催するなど、幅広い県民の新たな参画のもと、次期5か年のプログラムづくりに取り組みます。
県民の参画と協働の推進については、これまでの活動を通じて、共感と共鳴の輪が広がり、身近な暮らしにおける具体的な実践活動へとつながりつつあります。条例施行3年目を迎えて、これまでの取り組みの成果や課題を明らかにしながら、総合的な評価と検証を行い、今後の取り組み方向について、十分検討していく考えです。
男女共同参画社会づくり条例のもと、現行プランの後期5か年実施計画を策定するとともに、県との協定締結事業所の拡大、男女協働アドバイザーや市民講師の養成などを進めます。
広報・広聴活動については、県民の意見を施策や事業に生かすモニター制度を創設するとともに、県民総合相談センターを神戸ハーバーランド庁舎に設置するほか、さわやかフォーラムやトークなどを県下各地で実施して県民とのコミュニケーションを深めます。

行財政構造改革の推進

続いて、行財政構造改革の推進です

新年度の県財政は、法人関係税で堅調な増加が見込まれるものの地方消費税等は前年度を下回り、さらに、地方交付税及び臨時財政対策債は大幅に削減された平成16年度ベースが基準となっていること、減税補てん債の減少や公債費の増加もあって、引き続き、極めて厳しいものとなることが予想されます。
このような状況から、昨年2月に策定した「行財政構造改革推進方策後期5か年の取組み」に基づく徹底した事務事業の見直し、限られた財源の重点配分と経費支出の一層の効率化を図るなかで、可能な限りの財源対策を講じましたが、なお生じる収支不足に対しては、昨年に続き、退職手当債の発行と企業会計からの借入を行うこととしました。
組織の見直しでは、復興本部を廃止するほか、県民局について、本年4月より、健康福祉事務所、県税事務所等の業務を見直し、県民サービスの低下や非効率が生じないよう配慮しつつ、県民局管内の企画立案や総合調整等の機能を担う「圏域事務所」と、県民に身近な業務や現地性の強い業務を実施する「地域事務所」に再編します。
定員・給与については、適正かつ効率的な定員配置に努める一方、特別職の給料及び期末手当等、一般職の管理職手当の減額措置等をそれぞれ継続します。
県税について、滞納事案への的確・迅速な対応をはじめ効率的で効果的な税収の確保に努めるほか、不正軽油の流通防止対策の徹底を図ります。
分権改革が進む中、県と市町は一層密接な協力関係を構築していく必要がありますので、市町関連施策について、市町との連携強化を図ることとしました。あわせて、合併後の市町の規模や地域の実情に応じた県と市町の役割分担や支援のあり方について検討を進めます。
 
(条例・事件決議)
以上の方針のもとに編成した平成17年度の歳入歳出予算は、
一般会計「2兆1112億3100万円」
特別会計「1兆9184億1100万円余」
うち、阪神・淡路大震災復興基金貸付金債の満期一括償還にかかる公債費5866億7000万円が含まれています。
公営企業会計歳入「1500億4900万円余」
同歳出「1850億8700万円余」です。
次に、条例につきましては、兵庫県住宅再建共済制度条例等37件です。
事件決議につきましては、市町の廃置分合等16件です。
以上で平成17年度の主な県政施策と諸事業の説明を終わります。
議員の皆様には、よろしくご審議のうえ、適切なご議決をいただきますようお願いします。

お問い合わせ

部署名:総務部秘書広報室広報広聴課

電話:078-362-3016

FAX:078-362-3903

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