更新日:2004年9月24日

ここから本文です。

第280回兵庫県議会 知事提案説明(平成16年9月24日)

本日、第280回兵庫県議会の開会にあたり、議員の皆様のご健勝を心からお喜びし、日頃のご精励に感謝します。
提出議案の説明に先立ち、若干のご報告をします。
 
近代オリンピック発祥の地で開催された今年のアテネオリンピックでは、連日、日本選手の活躍が伝えられ、私たちに元気と勇気を与えてくれました。
特に、個人種目での活躍が目立ち、団体中心であったかつての日本とは異なり、協働と自立、まさしく今後の私たち社会のあり方を示唆してくれているのではないかと感じました。
今回、2大会連続で金メダルを獲得するめざましい活躍をされた谷亮子さんに、今後とも大いなる活躍を期待し、県として「誉」賞を贈呈しました。
また、開会まで700日余りとなりましたのじぎく兵庫国体、のじぎく兵庫大会を、オリンピックに負けない、元気な兵庫の姿を披露できる大会となるよう、鋭意、開催準備を進めていきます。
 
今年に入って、台風や豪雨による風水害に加え、紀伊半島沖地震などの災害が発生しております。自然災害に備える体制を整備していかねばなりません。
過日、集中豪雨に見舞われた福井県の土石流の被害現場を目の当たりにして、砂防ダム等の施設や、防災情報の伝達など自衛力、防災力をさらに高めていくことの重要性を再認識しました。
直ちに、県内の河川堤防や砂防施設等の緊急点検を行い、必要な場合には、早急に防災工事を実施するともに、避難勧告など住民への防災情報の伝達を迅速かつ確実に行うシステムの検討、高齢者等災害時に援護を必要とする方々への配慮など市町と連携して、総合防災と減災に向けて取り組みます。
 
被災された方々にとって住宅再建は、喫緊の課題です。
本年度からスタートした居住安定支援制度は、被害戸数が少ない場合は、支援の対象とはなりません。
このため、全壊など大きな被害を受けられた被災者に対して、被災戸数にかかわらず、居住安定支援制度に準じた支援が受けられるよう、居住安定支援制度の補完事業を拡充することとしました。
 
また、住宅再建には、この公助による支援に加え、住宅所有者の共助による支援の仕組みである住宅再建共済制度が、どうしても必要です。
これまで、給付と負担金額、実施主体、県と市町の役割分担などの課題について検討を進めてきました。
今後、制度の詳細設計等の検討を進め、制度の早期創設を目指します。
 
阪神・淡路大震災などの大規模な自然災害に際しては、国際的にも、被災直後の緊急対策に加え、本格的な復興における国際協調支援システムが望まれます。
私は、兵庫戦略として、国連機関等との連携のもと、復興事業の斡旋・調整機能、専門家チームの派遣機能などを持ち、被災国支援のワンストップサービスを実現する、「国際防災復興協力センター(仮称)構想」を提唱しました。
今後、来年1月に開催される国連防災世界会議における検討や、国連、国等への設置の要望など、構想の実現に向けて取り組みます。
 
地域の安全・安心対策としては、地域との連携のもと、精神科医療が必要な方を適切に医療に結びつけるしくみが必要です。有識者による会議を設置し、地域における適切な医療を提供するための制度のあり方や、県、警察と地域などのネットワークをさらに充実する方策などについて検討を行っています。
 
当面の行政課題への対応としては、年間予算を編成、これを執行しているものの、年度半ばを迎え、緊急の行政課題に機動的・弾力的に対応する必要があります。予備費も活用しつつ、既定予算のなかで緊急的な対策を講じることとしました。

まず自然災害への迅速な対応についてです

日本列島を相次いで暴風雨に巻き込んだ台風16号と18号は、県内でも、住宅や店舗、農作物や公共施設などに多くの被害をもたらしました。
このため、被災者への支援を拡充することとし、居住安定支援制度補完事業の拡充に加え、災害援護金等の支給金額を増額するとともに、支給対象要件も緩和するなど、支援の充実を図ります。
また、被災された商店や中小企業、農業者向けの緊急融資制度を用意するとともに、被災した公共施設については、その被害額は、現在のところ約60億円でありますが、応急復旧費など既定予算の枠を活用して早期に復旧するなど、災害からの復旧・復興に迅速かつ的確に対応していきます。

その2は、県民生活の安全・安心の確保についてです

高病原性鳥インフルエンザについては、発生が危惧される冬に向かって、養鶏協会が実施する鶏舎への防鳥網設置事業に対して助成するとともに、県の制度融資を活用して、消毒用機器の購入や鶏舎施設の改善を促すなど、養鶏農家への指導や情報提供に努め、再発防止に取り組んでいきます。
また、交通死亡事故は減少しているものの、交差点における事故が増加していることから、信号機を増設します。
JR加古川線の電化・高速化事業については、12月19日の供用開始に向けて、整備を進めていますが、安全側線の追加整備を行うとともに、車両費の募金不足分についても支援を行います。
なお、県民生活の安全、安心を推進する観点から、県立聴覚障害者情報センター(仮称)を県単独事業として早急に整備するとともに、国庫補助事業として採択されなかったものの、自主的に社会福祉施設の整備を行う社会福祉法人に対して、県として既に支援することとしている相当額を助成します。

その3は、経済・雇用対策についてです

本県経済は、輸出や国内設備投資の拡大により、企業収益や生産が持ち直すなど、回復基調にありますが、中小企業では、業種、地域によって回復の進展にばらつきが生じています。
制度融資について、新規開業を促進するため、貸付の自己資金要件の割合を50パーセントから30パーセントに緩和します。
また、商店街等の空き店舗に新たな出店を促すための魅力づくりや、地域団体と共同で取り組む特産品の開発、販売ルートの開拓などの取り組みを支援します。
雇用対策では、兵庫しごとカレッジシステム事業で実施している認定能力開発プログラムの助成対象者を2倍に増やします。
さらに、ひょうごの温泉に対する信頼を確保するため、温泉利用に関する県独自の表示ルールを設定するとともに、「安心宣言」キャンペーンを展開します。

その4は、環境対策の充実についてです

10月1日から、阪神東南部地域におけるディーゼル自動車等の運行規制を実施します。これまで、規制を円滑に実施するため、規制内容の周知や県内事業者に対してNOx・PM法の排出基準に適合しない車の買い替えを支援してきましたが、新たに、県内の港に発着するフェリーを利用する県外事業者も県内事業者に準じ、排出基準不適合車の支援の対象とします。
今秋11月には、西はりま天文台の大型望遠鏡が完成します。
これを契機に、地域の美しい星空を守る取り組みが求められますので、景観条例を改正し、新たに、星空景観形成地域を設けます。
また、市町の公共施設や民間施設の照明器具改修等に対して、景観基金も活用して、助成措置を講じます。
 
過日、三木市で発見された硫酸ピッチなど産業廃棄物の不法投棄については、原因者が不明でありますが、現状を放置すると県民の生活環境に悪影響を及ぼす恐れがあることから、代執行により県が除去します。
今後とも、不法投棄が発生しないよう、警察、市町とも連携のうえ監視を行うとともに、発見後は早期に除去するなど、迅速に対応していきます。
なお、硫酸ピッチの不法投棄の原因となる不正軽油の流通を阻止し、密造による軽油引取税の脱税を防止するための体制を整備することとし、軽油特別調査官を10月に設置します。
森林のもつ公益的機能の回復を図るため、平成14年度から、計画的な間伐に取り組んでいますが、公共事業費抑制の影響を受け、本年度の計画面積を達成することが難しくなっています。地元市町からの強い要望も踏まえ、森林管理100パーセント作戦を着実に推進するため、緑化基金を活用して、計画面積の達成に向け取り組みます。

その5は、教育・文化の振興についてです

かねてから準備を進めてきましたカーネギーメロン大学情報大学院日本校(仮称)については、地元経済界等と共同で、日本校の運営母体となる財団を設立するなど、来年4月の開校に向け、本格的な準備を進めていきます。
また、来年度開校する西はりま養護学校では、通学する児童生徒のためのスクールバスを購入するとともに、神戸養護学校では、児童生徒の増加に対応するため教室等を増築します。
さらに、ほ乳類の先祖とされるバク上科や炭獣類の下顎骨など貴重な化石が発掘された三田市の現地については、県民参加による発掘体験の場とするとともに、一部を公園として整備します。

次は、三位一体改革についてです

政府から国庫補助負担金改革の具体案作成の要請を受け、過日、全国知事会をはじめとする地方6団体は、その総意として「国庫補助負担金等に関する改革案」を取りまとめ、小泉首相に提出しました。
6月に閣議決定された骨太の方針で、3兆円の税源移譲を行うこと、これに見合う国庫補助負担金の削減リストを地方公共団体に作成することが要請されていましたが、今回の取りまとめは、地方分権の推進にとって大きな意義をもつものと考えています。
現在、国の経済財政諮問会議や、地方6団体からの提言に基づき設置された「国と地方の協議機関」などにおいて、平成18年度までの三位一体改革の全体像について審議が行われています。
今後、補助金関係省庁や関係者から強い抵抗があると懸念されるなかで、地方6団体が個別の課題を乗り越え、地方分権を推進するためにまとめた具体策であることの意義を十分に踏まえて、今こそ、改革が実現されるよう、全国知事会等とともに、政府に対して強く働きかけていきます。

最後に、県財政の運営と行財政構造改革の推進についてです

平成15年度の一般会計決算額は、実質収支で約4億円の黒字を確保したものの、黒字額は、平成6年度に次ぐ低い水準となりました。特に、県税収入は、昭和62年度以来16年ぶりに5,000億円を割り込む極めて厳しいものでありました。
また、今年度は、企業業績が回復基調にあることから、法人関係税に増収が見込まれるものの、個人県民税や自動車税は、当初予算額の確保が困難な状況にあります。
今後とも、健全財政の確保を基本に、歳入の確保や効率的な事業執行を図るなど、適切かつ弾力的な財政運営に努めます。
 
また、「行財政構造改革推進方策後期五か年の取組み」に基づき、県民局の事務所を再編し、来年度からの実施に向け、再編内容について県民への周知を図ります。
なお、職員の給与改定については、人事委員会からの報告及び勧告を受け、その趣旨を尊重することを基本として、厳しい社会情勢と財政状況等を勘案しつつ、十分に検討し、適切に対処していきます。

これより提出議案の説明を行います

まず、決算案件ですが、平成15年度の公営企業会計決算について、地方公営企業法の定めるところにより認定を求めるものです。
次に、条例案件は、屋外広告物法の改正を受け、広告物の表示等を禁止できる物件を追加するなど屋外広告物条例等の一部を改正する条例制定の件等10件です。
事件決議案件では、新たに朝来市、淡路市及び豊岡市を設置する市町の配置分合の件等13件です。
最後に、専決処分承認案件は、尼崎病院における医療事故に係る損害賠償の額を定めることについて承認を求めるもの等2件です。
 
以上で、提出議案の説明を終わります。
議員の皆様におかれましては、よろしくご審議のうえ、適切なご議決をいただきますようお願いします。

お問い合わせ

部署名:総務部秘書広報室広報広聴課

電話:078-362-3016

FAX:078-362-3903

Eメール:kouhouka1@pref.hyogo.lg.jp