更新日:2004年6月4日

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第279回兵庫県議会 知事提案説明(平成16年6月4日)

本日、第279回兵庫県議会の開会にあたり、議員の皆様のご健勝を心からお喜びし、日頃のご精励に感謝します。
提出議案の説明に先立ち、若干のご報告をします。

まず、食の安全・安心です

高病原性鳥インフルエンザについては、過日、移動制限区域を全て解除し、兵庫県産の鶏卵・鶏肉について「安心宣言」を行うとともに、養鶏農家・関連企業への緊急支援対策や消費拡大対策に取り組んできました。この間、関係者の皆様には、多大なるご協力をいただき心から感謝します。
感染ルートなど、未だ全てが明らかではありませんが、引き続きその早期解明を国に要請しています。
また、行政システム推進委員会を立ち上げ、今回の問題点を踏まえ、効率的な組織運営や行政システムのあり方について、専門的な見地から幅広く検討していきます。
過日、発生が確認されたコイヘルペスウイルス病については、直ちに、対策連絡会議を設置し、関係者にコイの処分や河川、ため池などの監視強化の要請を行うとともに、まん延防止に向け、県下の河川などにおいてコイの移動制限を行いました。
コイヘルペスウイルス病は、人やコイ以外の魚には感染しないこと、感染したコイを食べても人体に影響がないことなど、十分、県民に情報提供し、理解を求めていきます。
一方、食品の偽装表示など、食品に対する消費者の不安や不信感が高まっています。このため、「食」の安全・安心に係る基本理念や具体的な行動計画をまとめた「ひょうご「食」の安全・安心推進計画」の策定を進めるとともに、県産食品について新たな認証制度を設けるなど、今後とも、幅広い観点から取り組みます。

次に、震災復興です

多彩な事業を順次展開していく阪神・淡路大震災10周年記念事業に、多くの皆様が気軽に参加していただけるよう、NPOなどの幅広い団体が主体的に実施する事業に対しても支援できるようにしました。県民の皆様の活発な参加のもと、被災地のエネルギーを結集し、夢と希望にあふれる未来へつなぐ記念事業となることを期待しています。
また、健康福祉、産業、まちづくりなど分野別に震災復興の取組みの成果や課題等について検証作業を進めています。今後、県民の皆様の意見を検証に反映させるために、ワークショップの開催や被災地復興現地調査を行います。そして、来年1月の創造的復興フォーラム等において、次世代への提言として国内外に発信していきます。
居住安定支援制度が創設され、長年にわたり被災地から提案してきた住宅再建支援制度に公的支援の道が開かれました。
4年後を目途として制度の見直しを行うとの附帯決議もなされましたので、今後は、全国知事会等とも連携し、住宅本体の建築費を支給対象とするなど制度の一層の充実に向け、取り組みます。併せて、県民の皆様のご意見も伺いながら、住宅共済制度の詳細設計を行うなど、相互扶助の理念のもとに、公助、共助の住宅再建支援制度の充実を検討していきます。

第3は、経済・雇用対策です

実質経済成長率が平成14年4月以降8期連続してプラスとなるなど、景気が回復してきているなか、本県においても、輸出が好調を持続しているほか、設備投資も回復基調にあるなど、全体として緩やかな回復が続いています。企業の景況感も製造業、非製造業とも幅広い業種で改善が見られるとともに、雇用情勢も、求人の増加を背景に引き続き改善の方向にあります。
こうした回復基調を確かなものとし、本格的な成長軌道へとつないでいくため、産業・雇用政策の新たな指針となる「ひょうご経済・雇用再生加速プログラム(仮称)」を策定します。
また、このほど尼崎に先端分野の工場進出が発表されました。今後とも、国内で拠点工場を建設する計画が進んでいることから、産業集積条例による税の優遇措置、補助金及び融資制度を活用するなど、企業誘致に積極的に取り組みます。
一方、少子高齢化や国際化の進展に伴い、地域産業の衰退や雇用の悪化、中心市街地の空洞化などが現下の課題になっています。このため、地域経済の活性化と雇用の創造の実現をめざし、地域自らが、地域の特性を活かしながら、主体的に取り組んでいかなければなりません。
すでに、積極的に取り組んでいる構造改革特区に加え、新たに、産業振興、都市と農村との交流、まちづくり、芸術文化など地域再生計画を取りまとめ、過日、認定申請しました。
今後、地域の特性をいかしながら、再生計画で認められる行政サービスの民間開放、権限移譲などを活用しつつ、地域の活性化に努めます。

第4は、兵庫らしい教育の推進です

この4月に、神戸商科大学、姫路工業大学、兵庫県立看護大学の3大学を統合して兵庫県立大学が誕生し、1,700名余の第1期生を迎え、順調にスタートを切ることができました。
各学部・研究科等がそれぞれの特色や専門性を持ちながら、幅広い学問領域の統合のメリットを生かすことができる総合大学です。
創造性や自律性をもって活躍できる人材の育成、先導的・独創的な研究、生涯学習や産学連携などの社会貢献について積極的に行っていくことを期待しています。
また、IT化の急速な進展に伴い、情報セキュリティが課題となっています。大学、企業や行政においてもこの分野の人材が質量ともに不足しています。
今、コンピュータサイエンスの最先端とされるカーネギーメロン大学との間で、日本校開設に向けての諸課題について協議を行っており、今後、来年4月の開校をめざして準備を進めます。

第5は、共に支え合う社会づくりの推進です

子どもや家庭をめぐる事件等が多発するなか、家族の絆や地域の連帯感を再構築するため、地域を舞台に様々な活動を展開していかなければなりません。地域ぐるみで子育て家庭を支援していく「『子育て』地域協働プロジェクト」、また、地域の安全は地域で守っていく「地域ぐるみ安全対策事業」、そして、県民の主体的で、多彩な活動の場づくりを進める「県民交流広場事業」の3つの地域協働事業を、地域の実情に応じて展開していきます。
年齢、性別、障害の有無、国籍等の違いを超えて、だれもが安心して暮らし、元気に活動できるユニバーサル社会の実現をめざして、「ひと」、「もの」、「情報」、「まち」、「参加」の各分野における取り組みを推進しています。
このため、県が提供する行政サービスをユニバーサルデザインの観点から総点検するとともに、県が主体となって推進すべき施策や、県民・事業者の取り組みを明らかにする「総合指針」を策定します。

第6は、参画と協働の推進です

「21世紀兵庫長期ビジョン」については、本格的な策定作業から5年が経過します。「地域ビジョン推進プログラム」と「全県ビジョン推進方策」が折り返しの時期を迎えていることから、多くの県民の参加のもとに「地域夢会議」の開催などを通じて、県民の参画と協働を基本姿勢に、本格的な評価・検証を行います。

第7は、地方自治の確立です

三位一体改革は、地方が自らの権限と責任と財源のもとで必要な行政サービスを選択し、提供する分権型社会をめざすものです。
しかしながら、改革初年度となる平成16年度においては、地方の自主性の拡大につながる改革とはいえず、国の歳出削減と財政再建が優先され、改革の理念・趣旨からかけ離れたものでありました。
このため、平成17年度に向け、同じ轍を踏まないよう、まず税源移譲額を設定し、これに応じた廃止対象となる国庫補助負担金を選定する手順が提案されています。
また、地方交付税総額の見直しは、三位一体改革とは別の問題として検討すべき課題であり、投資的経費だけに着目した見直しは余りに一方的であり、全体として見直すべきです。
このようななか、昨日の経済財政諮問会議の答申において、平成17・18年度の2か年で概ね3兆円規模の税源移譲を目指すことや、国庫補助負担金については、地方公共団体がとりまとめた具体案を踏まえ検討することなどが盛り込まれ、本日、閣議決定されたことは、三位一体改革の実現に向けた一歩と考えます。
全国知事会等と連携しながら、秋には三位一体改革の全体像と筋道が明確にされるように、積極的に提言するとともに、地方の意見を十分踏まえた具体的な改革が進められるよう、積極的に働きかけていきます。
また、この4月に合併した養父市に続き、丹波市、南あわじ市が合併を迎えるなど、県内における市町合併の動きが本格化しています。
今後とも、新しいまちづくりが円滑に進められるよう、地域の実情に応じた適切な支援を行います。

第8は、当面の諸課題です

かねてから真相の解明、早期解決を要望してまいりました日本人拉致問題については、過日行われた日朝首脳会談により、5名の拉致被害者家族の方々の帰国が実現するなど一定の進展がありました。一方、拉致被害の方々や行方不明の方々については、本格的な再調査が約束されたものの、新たな情報提供など具体的な成果がなかったことは残念です。
今後とも、拉致問題の全面解決に向け、拉致被害者のご家族の方々をはじめ国民が納得できる成果が得られるよう政府に引き続き働きかけます。
ところで、公的年金制度については、少子・高齢社会に対応した信頼と安心の得られる持続可能で安定的な制度でなければなりません。このため、未納対策や年金制度の一本化などの検討を行うことが必要です。世代間の公平や就業形態の多様化にも配慮するなど、制度への信頼と安定が不可欠と考えます。
 
最後に、平成15年度の決算見込みです。過日出納を閉鎖し、現在、集計整理している段階であり、未だその詳細がつまびらかではありませんが、県税収入の決算見込額は現計予算額を若干上回り、一般会計の実質収支は黒字を確保できるものの、黒字幅は過去最低の水準にとどまる見込みです。

これより、提出議案の概要について、ご説明します

まず、条例案件ですが、建設工事紛争審査会のあっせん又は調停から仲裁に移行した場合の手数料を通算する使用料及び手数料徴収条例の一部改正等3件です。
次に、事件決議案件は、工事費の減額に伴うあすなろトンネル建設工事請負契約変更の件等60件です。
最後に、専決処分承認案件は、地方交付税の額の確定等に伴う平成15年度の一般会計補正について承認を求めるもの等3件です。
以上で、提出議案の説明を終わります。
議員の皆様におかれましては、よろしくご審議のうえ、適切なご議決をいただきますようお願いします。

お問い合わせ

部署名:総務部秘書広報室広報広聴課

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