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ようこそ知事室へ
本日、第367回兵庫県議会の開会にあたり、県政の推進に日頃からご指導いただいている議員の皆様に
敬意と感謝を申し上げます。
提出議案等の説明に先立ち、今般の職員による文書作成にかかる事案について申し述べます。当事案に関しまして、県民の皆様にご心配をおかけしていることを、お詫び申し上げます。県政をさらに前に進めていくには、県民の信頼を一層高めていくことが肝要です。また、県議会からは、独立性・中立性が担保された第三者機関の設置について要請をいただいたことも重く受け止めています。今後、第三者機関を設置し、それによる調査結果をお示しすることで、県民の皆様に対する説明責任を果たしてまいります。また、風通しのよい職場づくりに一層努めることで、兵庫の未来を切り拓く県政を、職員とともにオール県庁で推進してまいります。
続いて、主な施策の推進状況等についてご報告します。
その1は、若者・Z世代が輝く兵庫づくりです。
今年度の県政の柱である「若者・Z世代応援パッケージ」の取組がスタートしました。人口の絶対数が減る時代にあって、新たな活力を生み出していくためには、未来を担う若者が自らの可能性を広げ、個の力がみなぎる兵庫をつくっていかなければなりません。先般立ち上げた庁内推進本部のもと、関係施策の県民への浸透を図るとともに、さらなるニーズや課題の把握に努め、パッケージのブラッシュアップに繋げていきます。
(高等教育等の充実)
授業料等の無償化を開始した兵庫県立大学では、志願者数が過去5年で最多となりました。兵庫の若者が将来に夢を描く第一歩になったのではないかと考えています。
県内各地には特色ある教育を行う大学・高校が数多くあり、兵庫の強みとなっています。その価値や魅力をさらに高めるため、大学・高校関係者、学識者、産業界などから幅広く意見を伺う場を設け、関係者がどのように連携できるかなど、様々な視点で議論を行ってまいります。
(ひょうごリーダーハイスクールの指定)
5月に「ひょうごリーダーハイスクール」を11校指定しました。社会の課題発見・解決に取り組み、最先端の学びにより、グローバルに活躍できる人材育成を目指すもので、文理融合型や国際系の探究的な学びのほか、県内大学と連携した研究、留学生等との文化交流などを進めます。また、その成果は県内の学校へ広く普及し、兵庫の教育全体を底上げしていきます。
(HYOGO高校生「海外武者修行」応援プロジェクト)
高校生の海外留学を応援する「HYOGO高校生『海外武者修行』プロジェクト」には、10名の募集枠に対して、100名を超える応募がありました。社会貢献や芸術、スポーツ、地域産業など様々な分野で、世界に出て自分を磨きたいとの思いを持つ高校生が数多くいることを実感しました。今回選ばれる皆さんが、兵庫県のアンバサダーとして、留学先でフィールドパビリオンなど本県の魅力を発信するとともに、世界を肌で感じ、兵庫のみならず社会全体に影響を与えてくれることを期待しています。プロジェクトに賛同し、温かい寄付を寄せてくださった企業や個人の皆様に感謝申し上げます。
(不妊治療支援の強化)
不妊治療支援については、若い世代が正しい知識のもと、妊娠・出産を含めた将来のライフプランを選択できるよう、4月から高校生・大学生へのプレコンセプションケア講師派遣事業を開始しました。引き続き、治療と仕事の両立に向けた企業の理解促進など、支援の充実強化を図るとともに、不妊症対策に特化した条例の制定に向けて検討を進めます。
(不登校対策の強化)
不登校児童生徒それぞれの状況に応じた支援を充実するため、市町と連携し、不登校児童生徒支援員の配置を進めています。今年度中に、神戸市を含め、小学校では55%、中学校では96%程度まで配置が進む見込みです。また、不登校児童生徒への支援の輪を広げるため、大学・大学院生を対象とした「ハートフレンド人材バンク」を創設し、これまで50名を超える登録がありました。市町教育委員会とのマッチングを進め、学習や活動の支援に繋げていきます。
(住宅支援の充実)
子育て世帯等への住宅支援として、県営住宅では、入居要件の緩和や敷金免除などの制度改正を4月に行いました。また、全国初となる奨学金返済者優先枠の創設や、子育て世帯向けにリノベーションした住宅の入居募集を今月から本格的に実施します。民間住宅では、阪神間の市町と連携し、県外からの住替支援を4月から開始しているほか、夏頃を目処に子育て住宅促進区域を指定して住宅取得等を重点的に支援していきます。
(自習室や子どもの遊び場の充実に向けた検討)
新たな施策の検討にも着手します。県総合庁舎の開放スペースでは、自習する地元高校生の姿が目立ちます。話しを聞くと、学校と塾の合間の時間などに利用しているとのことです。また、ある民間調査では、高校生の約35%が家に集中して学習できる場所がないと回答しています。他方、児童生徒の体力はコロナ禍前に比べて低い状態が続いているとの調査結果があるなど、子ども達の体力低下も指摘されています。こうした状況を踏まえて、庁内にプロジェクトチームをつくり、自習室や子どもの遊び場の充実など、「学びやすい兵庫」「子どもを産み育てやすい兵庫」の実現に向けた新たな施策を検討していきます。
その2は、活躍の場が広がる兵庫づくりです。
(2025年大阪・関西万博に向けた取組)
万博開幕まで1年を切りました。機運の醸成に向け、4月には開幕1年前行事としてイベントを集中的に実施しました。万博会場でのフィールドパビリオン出展に向けたキックオフミーティングの開催や、神戸まつりのパレードへの参加、さらにはフィールドパビリオン県民モニター事業や、子ども達が地域の宝を発信する動画作品の募集も開始しました。また、万博は「今ここでしか体感できない特別な学びの場」となることから、県内の小中高生を万博会場に招待するプロジェクトを、県内企業とともに公民連携で実施します。6月17日には、万博開幕300日前を迎えます。フィールドパビリオンプレーヤー同士の連携した取組など、県内で広がっている意欲的な取組事例を発信し、機運をさらに高めていきます。
(神戸2024世界パラ陸上競技選手権大会)
5月17日から25日までの9日間、東アジア初となる世界パラ陸上競技選手権大会が、神戸市のユニバー記念競技場で開催されました。世界104の国・地域から参加した千名を超える選手たちが連日熱戦を繰り広げ、ここ兵庫・神戸からパラスポーツの迫力や魅力が世界に発信されました。当大会のレガシーをしっかりと継承し、インクルーシブな社会の実現に向けて引き続き力を注ぎます。
(ユニバーサルツーリズムの推進)
昨年6月に立ち上げた「ひょうごユニバーサルなお宿」宣言・登録制度は、宣言施設数が100に達し、着実に広がりを見せています。これに加えて、高齢の方や障害のある方等の回遊性を高める「面」での取組を促進するため、新たに「ひょうごユニバーサルな観光地づくりモデル事業」の募集も開始しました。多様な旅行者が本県を訪れる万博などを見据え、誰もが「行きたいところ」に旅行できる兵庫づくりを一層推進します。
(ユニバーサルな見てみよう・やってみようプロジェクト)
障害のある子ども達に映画やスポーツ等の鑑賞・体験機会を提供する「ユニバーサルな鑑賞・体験事業」を新たに実施します。3月に芸術文化センターで開催された劇場体験プログラムに参加しましたが、知的・発達障害のある子どもやその保護者の皆さんが、心から楽しんでコンサートを鑑賞されている姿が胸に響きました。今月は、車いすを使用している子ども達を車いすバスケットボール大会へ招待し、試合観戦や体験会を行います。来月も、映画館を借り切って、知的・発達障害のある子ども達を招待する映画観賞会を予定するなど、実際に見て、体験できる機会を広げていきます。
(ひょうごプレミアム芸術デー)
7月9日からの1週間、県内の美術館・博物館を無料開放する「ひょうごプレミアム芸術デー」を開催します。参加施設数は年々拡大し、今年は100施設を超えました。昨年度に続いて、一時保育の実施や、子ども連れ・障害のある方々の優先レーンの設置を行うほか、新たな取組として、ナイトミュージアムやこども学芸員体験なども取り入れます。
(SPring-8の高度化)
4月24日に、地元市町や経済団体とともに盛山文部科学大臣を訪問し、SPring-8の高度化の着実な実施を要望しました。SPring-8は、平成9年の共用開始から25年以上が経過し、国際競争力の低下が懸念されています。デジタル化やグリーン化への対応、水素社会の実現に向けた研究開発などには、SPring-8の高度化が不可欠であり、実現に向けて引き続き、国等へ働きかけていきます。
(県立総合射撃場のオープン)
県立総合射撃場が今月1日にオープンしました。クレーやライフルなどの射撃場のほか、わな猟の練習場、ジビエ処理加工室を備えた全国初の施設です。農林業被害の軽減に向け、野生鳥獣の捕獲・射撃に関する技術の習得機会を提供し、狩猟の担い手を養成するとともに、射撃の競技水準向上に寄与する拠点として活用していきます。
その3は、安全安心に包まれる兵庫づくりです。
(能登半島地震を踏まえた対策強化)
能登半島地震の発生から5か月が過ぎました。本県のカウンターパート先の珠洲市では、復旧作業が進んでいるものの、今も多くの地域で断水が続くなど、厳しい状況にあります。珠洲市での「大規模災害ボランティア活動応援プロジェクト」の適用期間を6月30日まで延長するとともに、石川県の就労支援事業所で作られた製品を本県で販売する「ユニバーサルな石川応援プロジェクト」を拡充するなど、被災地支援に取り組んでいます。また、能登半島地震で顕在化した課題への対応策を検討する「ひょうご災害対策検討会」を設置し、5月31日に第1回目の会議を実施しました。初動対応や被災者支援など8分野で検討を進め、地域防災計画への反映や合同防災訓練等を通じて、官民連携による災害対策の強化に繋げます。
(阪神・淡路大震災30年)
来年1月に阪神・淡路大震災から30年の節目を迎えるにあたり、記念事業の一環として「創造的復興サミット」を開催します。国内外の被災地と連携して、創造的復興の理念や取組を発信するもので、5月10日には、福島県と飯舘村を訪問し、サミットへの協力を快諾いただきました。能登半島地震の被災地を含め、引き続き、大規模地震の被災自治体等に参加を呼び掛けていきます。また、今月14日には、「震災30年事業キックオフシンポジウム」を開催します。16日から姫路市で開催される世界銀行主催の「防災グローバルフォーラム」にも参画し、震災の経験と教訓を次世代や国内外に繋いでいきます。
(特殊詐欺被害対策)
過去最悪のペースで増加する特殊詐欺被害を防止するため、対策を強化しています。自動録音機能付電話機等の購入支援については、県内全市町で支援制度が整備されました。また、県内各地で被害防止対策キャンペーンを展開するとともに、講習会や各種メディアを活用したPRを通じて、多様化する手口とその対策の周知を図っています。
(紅麴を含む健康食品に関する対応)
紅麹を含む機能性表示食品等の摂取による被害が社会問題となったことを受け、3月27日に県の総合的な窓口を県立消費生活総合センターに設置しました。さらに、健康被害の相談については健康福祉事務所で応じるほか、法律相談費用の一部を県が負担する制度も設けるなど、被害に遭われた方々の不安に寄り添った取組を進めています。
(客引きストップ!プロジェクト)
悪質な客引き行為が、地域住民や来訪者に不安を与えています。5月1日に、西宮市の阪急西宮北口駅北西地域とJR甲子園口駅南側地域の2地区を、条例に基づく客引き行為等禁止地区に指定しました。また、既に指定している三宮地区では、客引き防止の効果を高めるため、20日からAI防犯カメラを活用する実証実験を開始しました。今後、両地区において、地元市や県警、地元団体と協力したキャンペーンや巡回指導などを強化していきます。
(横断歩道等安全対策プロジェクト)
県内の交通死亡事故が多発していることから、緊急対策として、一定程度の摩耗が進んでいる横断歩道 約1万箇所を、今年9月末までに引き直します。とりわけ、通学路の近くや住宅地、交通量が多い場所などは、早期に引き直しを完了させます。また、信号機のない横断歩道では、歩行者・運転者双方が意思疎通を図って安全に横断する取組として「横断歩道合図運動プラス」の普及啓発を進めます。
(医師の働き方改革の推進)
医師の時間外労働の縮減に向け、昨年10月に病院局内に立ち上げたプロジェクトチームが検討結果を取りまとめました。これを踏まえ、一部業務を看護師などへ移管するタスク・シフトや、医療DXによる業務の効率化等を進めます。なかでも、アンケートで9割以上の医師が必要として挙げた、患者や家族への病状説明の勤務時間内での実施については、まずは全ての県立病院で実施を推奨し、機運が醸成された後には徹底を図ります。加えて、県内の他の医療機関にも参画を呼びかけることにより、社会全体の意識改革を進め、持続可能な医療提供体制の確保に繋げていきます。
最後に、県政改革の推進です。
(県政改革調査特別委員会)
3月に県政改革調査特別委員会を設置いただきました。分収造林事業や地域整備事業、公社等や本庁舎のあり方、若者・Z世代応援パッケージについてご審議いただくこととなっており、この間、分収造林事業などに対する外部委員会からの提言内容について、ご説明したところです。今後、各課題に対する具体的な検討の方向性などもお示しして審議を賜り、いただいたご意見を踏まえて対応方針を検討していきます。
(県庁舎のあり方)
生産性と職員の働きがいが共に向上する新しい働き方を推進するため、サテライトオフィス等のサードプレイスの活用や、公用携帯電話の貸与、パソコンのモバイル化などに向けて準備を進めています。また、庁舎等のあり方については、県議会からのご意見を踏まえつつ、新しい働き方を推進する中で生じた課題等を勘案しながら検討を進めてまいります。
(令和5年度決算見込み)
令和5年度決算見込みについては、過日、出納を閉鎖し、現在、集計整理を進めています。企業業績の回復に伴う県税収入の増加などにより、昨年に引き続き、実質収支、実質単年度収支とも、黒字を確保できるものと見込まれます。
これより、提出しました議案について、説明します。
条例案件は、「兵庫県病院事業の設置等に関する条例の一部を改正する条例」等2件です。
その他案件は、「特定調停及び債権の放棄」、「公益社団法人ひょうご農林機構への貸付金の一部債権放棄」等6件です。
「特定調停及び債権の放棄」は、兵庫県森林組合連合会がbe材供給センター事業の廃止に伴い申し立てた特定調停について、相当性及び合理性を認めるとの裁判所調査嘱託弁護士の報告等を踏まえ、調停案を受諾し、森林組合機能強化資金貸付金の債権を一部放棄するものです。
「公益社団法人ひょうご農林機構への貸付金の一部債権放棄」は、機構の利子負担低減のため、当該貸付金の貸付利率を無利子化することに伴い、利息債権を放棄するものです。
専決処分承認案件は、天神川氾濫災害補償に関する「和解及び損害賠償額の決定」の2件について、承認を求めるものです。
以上で、提出議案の説明を終わります。
議員の皆様におかれましては、よろしくご審議のうえ、適切なご議決をいただきますようお願いします。
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