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但馬の小京都「出石」に、現在鉄道は通っていません。
しかし終戦少し前には、出石鉄道と言う鉄道がありました。出石と日高町江原の間11.2キロを35分でつなぐ鉄道で、昭和4年からの15年間運行していました。地域に密着した鉄道で、事業開始の資金も地元住民の出資によりまかなわれましたが、自然災害による営業不振と戦争への鉄材供出のため、営業をやめ、レールも撤収されています。
こうした事実を伝え、当時の町民の思いを残し、将来を担う子供たちに伝えようと、豊岡市商工会青年部出石支部で取り組んだ出石鉄道の実寸大段ボール機関車模型が完成し、9月1日に出石振興局前の広場でお披露目式が開催されました。製作には8ヶ月かかったそうです。設計図もない中で、同様の機関車が保管されている場所まで取材に行き、試作品をつくって研究するなど、試行錯誤を重ねられました。
出来上がった作品は、圧巻の出来栄えです。運転席に上がるとさらに細かい部分まで工夫されていることがわかります。製作段階から、子供たちや地域の方に関わってもらうなど、出石鉄道の存在をよく伝え、子供たちにもその思いをつないでいく、地域の活力を感じます。
この事業は、地域で活動する団体が地域の魅力発信や活性化を目指して実施する事業に助成する「夢但馬応援事業」で支援しています。9月29日まで出石振興局で展示されていますので、ぜひ見に行ってください。
9月6日(金曜日)から8日(日曜日)にかけて開催された第0回豊岡演劇祭に行ってきました。7日(土曜日)の1日で、2つのメインプログラムと、2つのスタジオ公演を観劇しました。
この演劇祭は、豊岡市が「小さな世界都市」の実現に向けて、「演劇のまち」づくりを目指して開催するものです。来年度が「第1回」で、今年はその準備、試行としての開催なので「第0回」となっています。このあたりのタイトルもインパクトがあります。
城崎国際アートセンターで、平田オリザ氏、作・演出の「東京ノート・インターナショナルバージョン」から見始めました。事前に新聞紙上でも話題になっていた地元中学生の出演や、7カ国語上演という手法、また、永楽館での「御披楽喜(おひらき)」も、それまでと全く違った演劇で、1日でいろんな世界を味わうことができました。
開場前のロビーには、地元での演劇を楽しむ人、大きな荷物を持ち一目で遠方からの来場と分かる人、たくさんの人が溢れていました。演目の間では、地元産の食材を使ったサンドイッチを味わい、演劇祭用に準備された、2つの会場を結ぶバスに乗車して、車内の皆さんの演劇についてのおしゃべりも楽しく聞きました。
「豊岡演劇祭」の「第1回」は来年です。4月には、劇団青年団の新拠点がオープンし、今後、県立国際観光芸術専門職大学(仮称)の設置構想も具体になってきます。こうしたことを核に芸術文化を深め、但馬全域を「芸術の郷」として今後展開していきます。
9月8日(日曜日)、第7回山陰海岸ジオパークコウノトリチャレンジライドが開催されました。
約37度の酷暑のなか、715人が但馬の激しいアップダウンを含むコースを自転車で駆け抜けました。ゴール地点では但馬牛カレーが振る舞われ、参加された幻のモスクワ五輪元代表選手の山崎敏正さんやYouTuberのケンタさんも但馬を楽しんでおられました。
このチャレンジライドの開催に合わせて、今年は、山陰海岸ジオパークエリア内の3つのロングライドイベント(京都:TANTANロングライド、兵庫:コウノトリチャレンジライド、鳥取:鳥取すごい!ライド)を完走した人に、抽選でサイクルジャージや特産品をプレゼントする「山陰海岸ジオパーク・ロングライド・ラリー」を企画しました。
この企画をきっかけに、過去に参加したことのないイベントに足を運ぶという参加者もおられ、ジオパークエリア内の周遊が盛んになることが期待されます。
9月20日(金曜日)、21日(土曜日)の二日間、豊岡市立総合体育館で、但馬地域の優良企業が一堂に会する夢但馬産業フェア2019が開催されました。
二日目はあいにくの雨でしたが、地域企業の工夫を凝らした展示や、但馬牛ステーキ丼・八鹿豚カレーなどの地元食材を使った飲食ブースを楽しむ多くの人で賑わい、1,300人を超す中高生を含めた、過去最高の4,400人の来場者をお迎えすることができました。
来場した中高生は、事前学習を基に鋭い質問を各出展者へ投げかけ、熱心に出展者からの説明に聞き入っていました。これを機に地元企業を知っていただき、将来のUターンへつながればと期待しています。
また、今回の目玉として、豊岡商工会議所青年部のご協力により、職業体験コーナー「とよおかジョブスポット」を開設したところ、非常に多くの家族連れに参加いただき、大いに賑わいました。
会場では、初日と二日目で展示内容を様変わりさせる出展者や、自社商品や技術を巧みに使った体験型展示など、年々出展者の見せ方も変化しており、早くも来年の開催が楽しみです。
(但馬県民局長 古川 直行)
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